最新更新日:2024/04/26
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感嘆符 第3学年 森田 愛美さん 少年の主張 全国大会への出場が決定しました。

 森田さんは、群馬県で最優秀賞に選ばれ、群馬県の代表として、10月上旬に独立行政法人国立青少年教育振興機構で行われた関東・甲信越静ブロックの作品審査に推薦されました。森田さんは、各都道府県より推薦された地方大会(都道府県大会)優秀者1名、計47名の中から関東甲信越静ブロック代表として選出され、平成29年11月12日(日)13:00〜16:00に国立オリンピック記念青少年総合センター カルチャー棟大ホールで開催される、「第39回少年の主張全国大会」に出場することが決定しました。
 今年の少年の主張には、全国4188校から54万1012人の参加がありました。全国大会には、森田さんを含めた各ブロックの代表者12人が出場します。森田さんの主張は、新聞でも紹介されました。あらためて「みなみの風」の紙面にて発表原稿を紹介いたします。ご一読いただき、それぞれのご家庭で感想を語り合うなどしていただければ幸いです。

 私は、私の足で生きていく。     森田 愛美

 私は花の十四歳。メイクにも、流行のファッションにも興味がある、青春真っただ中のいまどき女子。友達とプールにだって行きたいし、素敵な恋愛だってしてみたい。挙げればキリがないほどのやりたいことがある『今』を精いっぱい生きている。
 今の言葉に嘘はありませんが、実際の私は少し違っています。私はこれまでの人生で、たくさんのやりたいことを飲み込んで生きてきました。例えば、かわいいスカートがあっても買うのを躊躇しますし、大人っぽいヒールの靴をはきたくても自信がありません。
 私は生まれつき右足のひざ下を欠損しており、幼い頃から義足で生活しています。思い返してみても、この足のせいで挑戦できなかったことがたくさんあったように思うので、私はこの足が好きではありません。
 自分が義足であるということに、明確なコンプレックスを感じた出来事といえば、小学校の水泳の授業を思い出します。義足の中に入った水を取り除こうとする私を取り囲む友達。みんなが、心の底では私のことを好奇の目で見つめていたのではないかという、不安が押し寄せました。そんな経験をしたせいもあり、私は水泳の授業を休みがちになり、洋服は足が隠れるものを選ぶようになりました。今思えば、障害が私から奪ったものは足だけでなく、『勇気』だったのかもしれません。
 皆さんは片山真理さんという方を知っていますか?近年、セルフポートレートという手法の作品で注目を集めている、群馬県出身のアーティストです。驚くべきは、彼女が両足義足、左手にも障害がある中で、自分自身を題材にした作品で活躍しているということです。義足にきれいなペイントを入れて、あえて見せるという発想。わざわざパーツを取り寄せてまでハイヒールを履くという発想。自分の足の断面をあらわにするという発想。私にとっては、衝撃以外の何物でもありませんでした。
改めてじっくりと鑑賞した作品の中の彼女は、とても美しく魅力的で、その目は、自分を表現することへの覚悟と自信に満ち溢れているようでした。
 中学生になった私は、演劇部で活動をしてきました。運動は苦手で、音楽や絵も不得意…。そんな裏方志望の私に、ひょんなことから役が与えられることになりました。役の名前は、篠原小春。私に似て、臆病になっている中学生。初めは、演じることの恥ずかしさばかりが頭をよぎりましたが、初舞台を終えた瞬間の達成感はとても清々しいものでした。その後も、キャストとして公演や大会を重ねていくうちに、私は表現できる喜びを感じていることに気がつきました。舞台の上では、『義足の女の子』という呪縛から解き放たれているからだと思います。
幼い頃から自分の義足を隠し、さまざまなことをあきらめてきた私。自信を持って表現する『勇気』は、義足によって奪われたのではなく、自分自身が義足の中にしまいこんでいたのかもしれない。そんな風に考えるようになりました。
 今の日本では、個性を大事にすることが求められます。では、私の足は個性ですか?私はそうは思いません。でも、この足とともに生きてきたことで『今の私』があることは確かです。例えば、義足を交換するたびに感じてきた、苦悩や喜びに似た複雑な感情の積み重ねも、悔しいけれど『私』の大切な一部なのです。
思うに個性とは、私が私の境遇の中で感じたことや考えたことの先に見えるものなのではないでしょうか。障害の有無に関わらず、自分の境遇を憂いたり、悲観したりすることは誰にでもあります。その中で、自分を納得させようと必死に葛藤する。その先にたどり着いたものが、かけがえのない個性として自らを輝かせるものになると思うのです。一度きりの人生なら、私はその個性を磨き、勇気をもって『私』を表現して生きていきたいのです。
まだぼんやりとした形の私の『個性』。自分を輝かせてくれるそれを見つけるために、義足に足を引っ張られるわけにはいきません。
私は、私の足で生きていく。

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