12月22日稲沢市教育委員会主催・玉置先生模擬授業に参加して(吉田)

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こんにちは、2期生の吉田です。12月22日に稲沢市にて行われた玉置先生の講演会(模擬授業+解説)に参加させていただきました。今回の授業では「17段目の秘密」「平行四辺形」の模擬授業を行い、行われた授業技術について解説をするという講演会でした。その授業での授業技術を講演・資料をもとにして紹介させていただきたいと思います。

○ 導入時は意図的指名を行う
玉置先生は授業の導入時、意図的指名を行う。授業開始時に「わかる人?」と挙手させることによって授業のリズムが崩れることへの対処、思ったことを素直に話せる雰囲気づくりを行うことができる利点がある。また出力を行う場面を多くの子供に設けることで授業に全員が参加できるという想いを子供が感じることができる。17段目の秘密では「このタイトルを見て、思ったこと」といったように感想を尋ねていた。このようにどのような子供でも答えられる発問にすることもコツである。

○ 子供にリベンジする機会を与える
子供に発言を求めた時、子供が「わかりません」ということも考えられる。この際に玉置先生は「あとで、もう一度聞くからね」「みんなの意見を聞いて考えてみて」というように声をかけ、他の児童に意見を聞いていく。その後「わからない」といった子供に対して、もう一度発問をすることで教師が意図的に「リベンジをする機会」を与えるのである。このことにより、周りの意見を聞く姿勢の育成・言語を豊かにすると言うことができる。また隠れたカリキュラムとして「『わからない』だけでは終わらない」という誰一人取りこぼさないという教師の考えを伝えることができる。

○ 「言葉」で価値づけを行う
玉置先生は発達段階的に厳しいのではと思わせる言葉で「価値づけ」を行う。例えば、通常の価値づけを「○と△で何か関係性があるんじゃないかと考え方はいいね」だったとする。玉置流では「いいなぁ。○と△で何か関係性があるんじゃないかという考え方を『仮説』というだ。」というのである。このことによって子供たちは「褒められた」という記憶だけでなく「意味の理解した価値語」も覚えることができる。意味を理解していることで本単元だけの考え方とせず、教科における見方・考え方に変化させていける。また価値語によってインプットされてた考え方は「いい考え方」と子供が捉え、何度も活用していく。このことにより「子供を鍛える」という点につながる。


○ 子供の意見を繋いでいくこと
玉置先生の授業では「子供の意見を繋いでいくこと」は欠かさず、行われている。これは先に述べた通り「授業に全員参加する」ということを意識した内容である。一人の意見に対して「あなたの言葉で説明して…」「これってどういうこと?」と様々な子供の言葉を用いて具体的にしていくことができる。

○ できていない子供がいる時は出力し、ルール化
授業を行う際に、「できない」「わからない」と思う子供も少なくない。この際、「その子供を逃さない」と考え、今わかっていることを子供に出力させる。そこから他の子供にも意見を取り入れながら、学習で行うことをルール化し、わかりやすく取り組めるように行う。

○ 子供に選択肢を与える。
玉置先生の授業の中で「次はどうする?」という発問を行い、子供に選択肢を委ねることがある。これは「主体的・対話的で深い学び」と言われる中で子供の主体性を生む工夫である。この授業技術を使う前提として、発問内容に子供たちが見通しを持てる状況・活動を仕組むことを忘れてはならない。「子供に選択肢を与えつつも、教師の意図がある」ということが大切であると考える。

○ 話し合い後の意図的指名
「隣同士で話し合う活動」と行う時、玉置先生は「子供の会話」はもちろんだが、「話し方」を見ている。話し合いの活動後「このグループは『体を寄せ合って話し合っていたね。』『手を使って話をしていたね。』発表してくれないか」と言って意図的指名を行う。このように挙手上澄み方式の指名ではなく、よさを伝え、意図的指名を行うことで「こういう発表はいいな」という価値を子供が理解し、表現力を豊かにしていくことができる。また、「先生は私たちを見ている」という認識もこの授業技術で行うことができる。

○ わざと悪い状態にしておく
17段目の秘密の授業にて「規則性」に気付いた子供たちの発言を玉置先生はわかりにくくても「そのまま」、わざと板書していた。「わざと」という部分が重要である。子供たちに「気付かせたい」ことを教師自身が認識しておき、「わざと」書いておくことにより、子供に気付くきっかけを設けることができる。その気づきにより考え方の定着につながると話されていた。

○ 活動中に「思考を見える化」する。
玉置先生の授業では「だんだん先生が話すことが減らしていく分、子供同士が話し合う」といった構造がよく見られる。その要因は先に述べた授業技術にあることは言うまでもない。「子供同士が活動している時」ほど玉置先生は見える化を図る。例えば、子供の些細なつぶやき・感想を板書していくこと、わざと先生から要点を話さず、子供の言葉を引き出すといったような工夫が本授業では見られた。この授業技術の用いることで「子供が振り返る」「子供の思考の支援になる」といった利点が生まれ、子供自身が学習しやすい環境を整えることができる。

○ なんでも発表したくなる子への声掛け
「なんでもみんなの前で発言したい」と考える子供に対して、玉置先生は「活躍しすぎたら損をするよ、大切なときは先生が目線を送るからね」とその子に伝えると言う。その子の気持ちを大切にしつつ、クラスの中で大切と思われるような仕組みを作ることを狙いとしていると話されていた。

○ もしもしコーンの活用
17段目の秘密の核心に迫っていく中で「子供たち一人一人が見つけ、話したくなる」状況が生まれる。その際に玉置先生はメガホンを使い、子供が一人一人言いに来るという授業技術を用いた。これは中部大学の小笠原豊先生が提唱されている「もしもしコーン」という手法である。クイズ番組等で見られるような方法であるが、授業では「一人の意見で周りの子供たちの思考を止めない」「子供が主体的に考えたいと思える」といった意図がある。

○ 見方・考え方のヒントを伝えていく
玉置先生は先に述べたように価値語で褒めることもあるが、「見方・考え方のヒントを与える場面」もある。これは今回の講演では、「平行四辺形を何倍で分割できる」ということに気付かせるときに「2倍のラインがあるんだ…」とつぶやいていた。これは「ラインがある」という見方・考え方を与えると共に「○倍ラインもあるんじゃないか」という子供の思考のヒントになっているのである。また、その考えを価値づけすることで「使おう」「やってみよう」という主体性を生む工夫にもつながると言える。

○ 今までの意見と異なる意見が出た時ほど、周りが肝心
授業において、今までの意見と異なる意見が出てくる場面ほど、周りの子供への意識を忘れてはいけない。「表情」「仕草」と周りの子供の反応を見て、今までと異なる意見に関して、どんな思いを抱いたのかということを捉える必要があるからだ。その姿を見ているからこそ教師の次の行動を決定づけることができる。例えば、大切な考えを述べてくれたが、周りの子供たちが首をかしげていたら、その考えを深めるために「頷いている子に話してもらう」「もう一度ゆっくり確認を入れる」といった活動を選択することができるのだ。このように周りの子供たちの反応を大切にすることで、全員で授業に臨むという意識も育むことができ、よい授業の1歩になっていると思われる。

○ 子供とのコミュニケーション時にユーモアを入れていく。
玉置先生は子供のとの関係性を気付くために「笑い」を大切にしている。そのルーツは落語にあるのは、知る人ぞ知る内容である。子供とのコミュニケーションでユーモアを入れていくことで「この先生、いいな」「ちょっと話聞いてみようかな」といった動機付けにもなること、そして最も重要である「子供との信頼関係」を構築できると考えることができる。「ユーモアのある切り返し」と言えば、池田修先生も講演会で話されている。子供との関係づくりは授業に欠かせないと改めて感じることができた。

○ 即時評価
玉置先生は常にその場で、子供に価値づけを行う。1つ1つの行為をしっかりと捉え、すぐに褒めることによって、褒める回数を多くすることで子供は学びたいと思える。このように小さなことであっても、積み重ねていくことで「参加したい授業」を形成することができるのだと思う。

今回このように記事を書かせていただき、授業とは細部まで目的をもって行うからこそ、子供の学びたい授業になるのだと再度考えさせていただきました。(吉田)

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