1年を振り返って(大澤)

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1 はじめに

4月。教室のドアを開けたときの緊張感は今でも覚えている。「どんな子たちなのだろう。」「担任として上手に引っ張っていけるだろうか。」そんな期待と不安が入り混じった感情を抱きながら教室に入った。それから早1年が経った。考えてみれば本当にあっという間だった。毎日が新しいことばかりで必死だった。時には、自分の力では何もできない悔しさや情けなさに涙することもあった。しかし、そんな中で子どもたちの成長を感じられた日は嬉しかったし、自分の頑張れる原動力となった。

2 ある子どもとの出会い

 その子どもは、勉強が苦手で落ち着かなくなってしまったこともあったので、放課の時間も利用して指導をした。最初こそ嫌がっていたが、勉強が分かると嬉しそうだった。
「今日の先生からのミッションはこれね。ちょっと難しいよ。解けるかな。」
と計算問題を2問ほどだすと、翌日には、
「先生、解けたよ!見て!」
と誇らしげな顔をしてノートを見せてきた。
1学期の終わりになると、宿題をほぼ毎日出すようになり、授業中も積極的に挙手するようになった。目に見えてわかる成長に喜びを感じた。2学期に行った「劇と歌の会」では、クラスの子たちからソロで歌う役に抜擢され、持ち前の美しい歌声を体育館中に響かせた。自信がついたのか、輝きはさらに増した気がする。保護者にも、「あの子、あんなに歌うまかったんですね。」と言っていただけた。
 2月に2分の1成人式に向けて、10年の間に自分が成長したと感じた部分を書き出した。ワークシートには「○年生になって、できなかった計算ができるようになった。友達がたくさん増えた」と書かれていた。

3 小さな目標づくり

 我がクラスの子どもは素直で頑張り屋である。これまで運動会やマラソン大会、なわとび集会などの大きな行事もクラスで一致団結し、乗り越えてきた。この良さを学校行事だけでなく、普段の生活の中でも取り入れると、とても良い雰囲気で1日を終えることができることが分かった。例えば、給食配膳の時間。4月当初はわたしのクラスだけ遅く、食べる時間が充分に確保されていない状態だった。指導員の先生に相談したところ、タイマーを使うことを勧められた。
「今日はみんなの力をあわせて15分で配膳したいんだけど、できそうかな。」
と聞くと、
「できる!」
と声をそろえた。タイマーを使って行ってみると、子どもの動きが全く違った。「15分以内に配膳をする」という目標意識をもつだけでこんなにも変わるのだと驚かされた。最初は声をかけながら行っていたが今では特別な声かけをしなくても子どもたち自らタイマーを設定し、動いている。この「小さな目標づくり」は給食配膳だけでなく「帰りの会の支度を6分で行う」「授業の始めと終わりのあいさつの声をそろえる」など、1日に1つ課すことで楽しく学級力を高めることができると感じた。

4 おわりに

 自分が教師になって初めて、「自分は今まで先生たちにこんなにも多くのことをしてもらっていたのだ。」と気付くことができた。わたしは、器用な方ではないため、1つひとつのことに時間がかかってしまうし、失敗も多い。それでも子どもたちは一生懸命に目の前のことを乗り越えようとする。その姿を見てわたしも「頑張らなきゃ。」と思う。正直、楽しいだけでは務まらない。しかし、楽しい以上のやりがいが、この仕事にはあると思う。(大澤)

※写真は2017年2月19日愛される学校づくりフォーラムから
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