最新更新日:2024/05/30
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森の道標 授業紹介(西中・2年理科)気象通報から天気図を描く

 平成30年2月13日 裾野西中学校 2A理科 玉置絵梨 教諭 
                      H30.2.15 小泉隆嗣

 「NHK第2放送の気象通報から天気図を作り上げて、その天気図を基に授業を構成する」という、玉置先生にとっては初の試みでした。今では気象通報から天気図を作成するなんて「古典的」と笑われそうですが、冬山登山者の間では常識です。スマホも便利ですがバッテリーが厳冬期には機能しません。冬山での情報源はやはり「ラジオの気象通報」なのです。
 事前にこの教材を紹介したその時から、玉置先生の「一人教材研究」が始まったようです。初挑戦ですから「準備万端」で臨まないと、といった緊張感もあったと思います。自分で実際に試して「これは生徒たちにとっては難しいから時間がかかる」と感じた玉置先生は、本時の前に「気象通報のデータを記録する作業」を組み込んでいました。
 参観前に扱った天気図を見てびっくり、この時期では一番難しい天気図なのです。これが、冬型の天気図だったら簡単に等圧線が引けるのにと、玉置先生が試した日の天気を恨みました。それでも、生徒たちは「天気図を描く」なんて想定外だったらしく、誰の天気図にも所狭しと気象データと漁業気象データが書き込まれていました。
 本時の目標は、一言で言うなら「低気圧や高気圧と天気の関係に気づく」ことです。低気圧の所では「雨」や「雪」など天気が悪い、高気圧の所では「晴れ」「快晴」「曇り」など天気が良いと言うことに、自分の作った天気図から気づくかどうかが勝負の鍵でした。衛星写真を使った試みも功を奏し、生徒たちはいとも簡単に「低気圧→天気が悪い、高気圧→天気が良い」ことに気がつきました。これで勝負ありです。あとは先生と生徒たちの軽やかなやり取りを続けながら、ここぞとばかりに玉置先生の気象用語の解説や説明が入ってきます。何より一番すごいのは、多様な生徒たちからの発言に惑わされることなく「全くぶれず」に、科学的な追及を行っていた彼女の授業力です。生徒たちはもう玉置先生の手の上で転がされている状態です。ですが、誰一人として不満顔の生徒はいません。こんな信頼関係の中で授業が出来るなんて素敵なことです。生徒たちの活動(天気図の中に等圧線を引く)が中心の一見静かな落ち着いた授業でしたが、生徒たち一人一人の頭の中では猛烈な思考が働いていることが、その作業への熱心さから見て取れました。玉置先生の教育論文が、裾野市の優秀賞に輝くというおまけまでついて、自分が玉置先生と同じ歳だった頃の授業が恥ずかしくなりました。科学で筋を通した、とても落ち着いた授業風景は、私の忘れられない思い出の1つになりました。
文責:学びの森 指導員 小泉隆嗣
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「森の道標」授業紹介(東小・5年道徳)

1月19日(金)第3校時 東小学校5年2組で加藤宰教諭の道徳の授業を参観しました。

主題名 <正直・誠実> 資料名「手品師」出典 心ゆたかに
本時の目標  
 子どもとの大切な約束を守ると自分の夢へのチャンスが無くなってしまうという状況の中で、もがき苦しんでいる手品師のこれからの言動について話し合う活動を通して、自分の良心に従い誠実に生きていく態度を育てる。

 導入で、今日の価値に迫るために、「今までのことを思い返して2つの事や物の間で、心が揺れ動いたことを書いて発表してください。」と、にこやかな笑顔で、投げかけました。先生の穏やかな態度に子どもたちの気持ちは解れ、どの子も自分の素直な経験を書き、発表しました。
 二つの事や物を選択する時、「右の物にしようか、左の物にしようか、自分自身の事で迷った事」と「母へのプレゼントは、どっちが似合いそうかなと相手の気持ちを考えて迷った事」の2種類出ました。つぶやきも多くあった中で、13人が発表しました。
気持ちがほぐれたところで、資料の範読に入りました。子どもたちは、先程、思い出した自分の経験と重ねながら、じっと耳を澄ませました。
 展開では、手品師が、友だちの電話(大劇場への出演依頼)を受けた時からの行動について、「自分の夢を優先する」と「夢を封印して、男の子との約束を守る」の二つに分かれて40回以上の意見交換をしました。
 経験2年目教諭の加藤先生は学びの森の研修で年間5回の授業公開を行いました。この授業が最終回でしたので、授業をビデオに撮り、それを見ながら懇談を行いました。
 どちらも自分の考えを譲らない意見交換が続きました。加藤先生は、子どもたちの意見を聞きながら、『どちらの意見を主張しているかで、子どもたちの日頃の生活態度や家庭環境が透けて見えた』と、一人ひとりの意見を性急に判断しないで、子どもの気持ちを冷静に分析し、そこを大事にした対応をしました。
<夢を叶える意見>
・チャンスは無駄にしたくない  ・大劇場に出るという夢が叶うんだよ
・二度とないチャンスだよ    ・磨いた手品の腕が無駄になる
<男の子との約束を守る意見>
・行くよと言ったので、嘘はつけない
・チャンスは無くなるが、男の子の笑顔がなくなる
・大劇場出演でも有名になるとは限らない 
・約束を守んないと、また、男の子が悲しむ
等、自分の考えを素直に出し合いました。
 そして、2つの意見に割って入ったのが、
・大劇場に出演して、その後に男の子に会えばいいんじゃないの?
・男の子は、一度、約束を破られたら、その後、手品師を信頼できると思う?
等、どうにかして二つの事を叶える事は出来ないものかという意見まで出て、迷いに迷っていました。
 ビデオで見ても、真剣な迷いがどの子にも見られ、揺れ動く気持ちを感じながらの意見交換であったと分析しました。
 子どもの全体像を目線に入れて、子どもを素直に理解し、子どもたちと学びの場を作っていく教師としての感性とその感性を磨く努力が、真剣に『迷いながら考える』授業になっていったと感じました。
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