１週間前の始業式で、私は校長通信を使って「東京大空襲」を取り上げ、それを受ける形で全校一斉に道徳の授業を行ってもらいました。　そして、その際に皆さんが使用したワークシートは、私も全校生徒分を見せてもらいました。

　まだ覚えていると思いますが、ワークシートには４つの設問がありました。　第１問は「校長通信を読んだ感想」、第２問は「自分の考える『平和な世界』とは」、第３問では「そんな『平和な世界』を築くために自分にできること」を尋ねました。

　そして、最後の第４問は、次のような内容でした。

　【今後もし第３次世界大戦が勃発すれば、それは『核兵器による戦争』になると言われています。さらに続けて第４次世界大戦があれば、それは『（　　　）や（　　　）を武器にした戦い』になると予想されます。　（　　　）の中にはどんな武器が入るか、その理由とともに説明してください。】

　この第４問について、多くのクラスで熱い議論が交わされていました。　（　　　）に入る武器として、ＡＩ（人工知能）、ロボット、ドローンなど無人兵器、化学（細菌）兵器、サイバー攻撃、さらには「宇宙ステーションを利用した兵器」といった意見も出され、その理由もよく考えられていました。

　それに対し、先生方の例示した一つの答えは【棒】や【石】でしたね。

　理由は【核兵器による第３次世界大戦が行われれば、人類は壊滅的な打撃を受け（もしくは全滅し）、地球は全ての文明が破壊しつくされ原始時代に逆戻りしたような状態になる。　したがって、仮に生き残った人類が第４次世界大戦を起こしても、棒や石を武器にした原始時代のような戦いにしかならないから】でした。

　ただし、それも一つの考えに過ぎません。　道徳の授業では、「何が正解か」という結論を導くこと以上に、「考え、議論する」という過程が大事なのです。　その過程が多くのクラスで見られたことを、私はとても幸せに感じました。

　さて、今日はワークシートにあった第３問「平和な世界を築くために自分にできること」について補足します。　この設問についても、多くの人がよく考え、自分なりの答えを書いてくれていました。

　「校長通信を見ながら家族と話し合ったり、ＳＮＳで拡散したりする」「お互いの違いを認め合う協調性を身につける」「外国の人と仲良くなれるよう、英語を勉強する」「選挙で、絶対に戦争をしない政治家を選ぶ」…。

　皆さんが、真剣に考え書いてくれた「自分にできること」を読むうちに、私は胸が熱くなりました。

　だからこそ、その第３問についても、一つの参考になる考えを示したいと思います。それは、今年８月６日の広島平和記念式典で、地元の小学生代表児童が述べた「平和への誓い」の一節です。「板橋区中学生平和の旅」の一員としてその場に居合わせ、その言葉を深く胸に刻んだ者として、皆さんにも紹介させてください。

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　【国や文化や歴史、違いはたくさんあるけれど、大切なもの、大切な人を思う気持ちは同じです。　みんなの「大切」を守りたい。】

　【「ありがとう」や「ごめんね」の言葉で認め合い許し合うこと、寄り添い、助け合うこと、相手を知り、違いを知ろうと努力すること。　自分の周りを平和にすることは、私たち子どもにもできることです。】

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　さあ、皆さん。
　特に後半を、自分の日常生活に当てはめてみてください。　このように世界平和は、まず自分の周りを幸せにすることから始まると考えれば、「自分にできること」は格段に増えるのではないでしょうか。

皆さん一人ひとりが、自分にも築ける身近な平和について考え、それを実践し、いつか世界の平和へとつなげていってくれるよう期待しています。