本日は、後期生徒会役員の任命式・専門委員の認証式が行われました。
そのため本来であれば全校朝礼はなかったのですが、暦や学校行事の関係で次回の朝礼が11月中旬になってしまうため、任命式・認証式後に急きょ「校長講話」だけを行いました。
※校長講話の内容は、下の『おりたたみ記事』をクリックしてください。
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【文明の利器】という言葉があります。 「文明によって作られた便利な道具・便利な機械」といった意味で使う言葉です。
したがって、「今や日常生活で当たり前のように使っているけれど、これが発明されていなかったら不便だろうな」と思える道具や機械は、全て【文明の利器】と言えるでしょう。
例えば、エアコンやテレビ、電子レンジ、電話機、照明器具などもそうですし、私が今こうして使っているマイクもその一つです。
一方、その【文明の利器】が、使い方を間違えると一転して【文明の凶器】となることもあります。
【文明の凶器】 正式にそういう言い方があるわけではありませんが、先ほどの【文明の利器】に合わせるならば「文明によって作られた危険な道具・危険な機械」といった意味になるでしょうか。
典型的な例が、自動車(クルマ)です。
以前朝礼でも取り上げましたが、何の罪も落ち度もない子どもが、暴走した自動車に衝突されて尊い命を奪われる事故が続きました。 また、最近話題になった「あおり運転」も、自動車を便利な道具としてでなく、危険な凶器として間違った使い方をしている事例と言えます。
このように、私たちにさまざまな恩恵を与えてくれる【文明の利器】も、それを使う人によって、あるいは、使い方を間違えてしまうことで、人を傷つけたり害を与えたりする【文明の凶器】になってしまうということを忘れてはいけません。
私がそんな話をしようと思ったのは、先日ある学年のLINE(ライン)グループ内で、加工した友達の写真をSNS上にアップし拡散してしまうという、大変残念なことがあったからです。
そして、残念であると同時に私が一番ショックを受けたのは、その写真をアップ・拡散した理由でした。
「LINEを盛り上げたかったから」
もしかしたら、それが半永久的にネット上から削除できない写真であるにもかかわらず、しかも、人の心を傷つけ、人権を踏みにじるような写真であるにもかかわらず、「盛り上げたい」というくだらない理由でいとも簡単にアップしてしまう無神経さ、想像力のなさが、私にはショックだったのです。
今年改訂された東京都教育委員会の『SNS東京ルール』に、次の項目があります。
『送信前には、誰が見るか、見た人がどのような気持ちになるか考えて読み返そう』
簡単なことです。 SNS上に何らかの情報を発信する際には、スマホの送信ボタンをクリックする前に、自分の打った文面をゆっくり声に出して読み返してください。 自分が送ろうとしている画像を拡大して、客観的に見直してください。
もし、それが不適切な情報であったとき、皆さんの中にささやかな理性や良心、ほんの少しの想像力があれば、皆さんの指は送信ボタンではなく取り消しボタンへと向かうでしょう。
今回のような事案だけでなく、スマホを適正に使いこなせない若者が「片時もスマホを手放せない依存症」「ネットいじめ」「オンラインゲームへの没頭」「出会い系サイトを介した犯罪被害」といった様々な問題に巻き込まれています。
スマホは片手に収まる小さな【文明の利器】ですが、自動車と同様使い方を間違えると一転して、人も自分も傷つける【文明の凶器】になるという覚悟をもって使わなければなりません。
にもかかわらず、もしどうしてもその覚悟がもてないというのであれば、私からその人にせめてものメッセージを贈ります。
「今日おうちに帰ったら、それが凶器と化す前に、真っ先にスマホをお捨てなさい」