令和2年度が始まりました。
新型コロナウイルスの感染が終息に向かうまで、こうした放送による形態が増えるかもしれませんが、これからの1年間、朝礼などの機会を通して、皆さんにはさまざまな話をすると思います。
ただし、例年決まって同じ話をする、節目の日もあります。
7年生が入学する前、つまり、今日1学期の始業式も、そんな節目の日の一つです。もしかしたら、ちょうど1年前に私が話したことを覚えている9年生も、いるのではないでしょうか。
それは、アメリカ合衆国第35代大統領ジョン・F・ケネディーという人の残した言葉に関する話です。
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ケネディー大統領は、1963年、暗殺により46歳という若さでこの世を去りました。 そのため、大統領を務めた期間は3年足らずですが、歴代大統領の中でも偉大な大統領として常に名前の挙がる人です。
そのケネディー大統領は大統領になったとき、後に「Active Citizen」(能動的な市民)と題されるようになった就任演説の中で、次のように国民に訴えかけました。
Ask not what your country can do for you,ask what you can do for your country.
日本語に訳せば、【国があなたに何をしてくれるのか尋ねてはいけません。 あなた自身が国のために何ができるのかを、問わなければならないのです。】といった意味になります。
全ての人間は、他者との繋がりの中で生きています。 社会や集団、組織の中で、周囲の影響を受けたり、誰かに支えてもらったり、逆に周囲に影響を与えたり、誰かを支えたりしながら生きているのです。
したがって、自分が幸福に暮らしたい、快適な生活を送りたいと願うのであれば、周囲の人々の幸福や、社会全体の快適な暮らしについても考える必要があります。
学校も小さな社会であり、集団、組織であります。そこで例年私は、先のケネディー大統領の演説に出てきた「国」を「学校」にたとえ、先生や先輩に頼るだけでなく、自ら学校の発展に貢献できるようになってほしいといった期待を、新入生のいないこのタイミングで伝えているのです。
しかし、あえて今年はそうした「たとえ」ではなく、ダイレクトにケネディー大統領の言葉を皆さんに投げかけます。
【国があなたに何をしてくれるのか尋ねてはいけません。あなた自身が国のために何ができるのかを、問わなければならないのです。】
現在、我が国は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、歴史上かつてない危機に直面しています。「国の災難」と書いて「国難」という言葉がありますが、今まさに我が国は、いえ、世界中が国難に直面しているのです。そして、東日本大震災の時がそうであったように、国難は文字どおり国民が一致団結しなければ乗り越えられません。
どうか皆さん。 今こそ「自分は日本国民の一人である」という自覚を強く抱いてください。 皆さんは、社会の宝です。 かけがえのない国家の財産です。
しかし、同時に社会の一員であり、国民の一人なのです。 新型コロナウイルスという目に見えない相手と闘い、これに打ち勝つためには、皆さんの協力が必要です。
あなた自身が国のためにできること。それはまず「自分が感染者となれば、自分だけでなく周囲の人の命を危険にさらすことになる」という自覚を肝に銘じることです。 その上で、休校中も学校がある時と同じように規則正しい生活を送り、家庭学習課題に取り組み、「分散登校」などを除き外出をしないことだと思います。
不自由で窮屈な生活を強いられるかもしれませんが、どうか国難を乗り越えるために我慢してください。新型コロナウイルスとの闘いに打ち勝つために我慢してください。
私たち教師も「分散登校」などで皆さんに学習の機会を提供し、規則正しい生活リズムを整えてもらうための支援を全力で行います。それが、私たち教師にできる「闘い」だと思っています。