生徒会役員や生活委員会の間で、新しい校則【 Be Gentleman(ビー・ジェントルマン=紳士であれ)】に関する話が出たと、担当の先生から伺いました。
簡単に言うと「 Gentleman(紳士)の基準が、人によって異なるのではないかという疑問の声が上がったのだそうです。それを聞いた時、私は大変嬉しく思いました。
なぜなら、生徒自らそういう疑問を抱き、一人ひとりが考え、皆で話し合い、学校としての解を求めていく姿こそ、私が皆さんに期待する姿だからです。
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8・9年生は覚えていると思いますが、7年生のために改めて説明しておきましょう。
今年度から一本化されたこの校則は、アメリカの教育者・クラーク博士が、1876年(明治9)、開校したばかりの札幌農学校(現在の北海道大学)に初代教頭として着任した際に言った言葉です。
開校にあたり細かく定められた校則を見て、クラーク博士はこう言ったそうです。「規則で人間をつくることはできない。この学校に校則はたった一つあればいい。それは『 Be Gentleman(紳士であれ)』だ」
そんなクラーク博士の言葉を引用した本校の校則には次のような補足があります。【紳士とは、男女に関係なく、知性に富み、礼儀正しく、思いやりにあふれる人のこと】
そして、校則とは別に、誰もが快適な学校生活を送るための心構えも付記されています。それは、本校で大事にしている基本的生活習慣【あじみこし】に関する心構えです。
これも7年生のために説明します。【あじみこし】とは、挨拶の【あ】、時間の【じ】、身だしなみの【み】、言葉遣いの【こ】、姿勢の【し】の頭文字をとった合い言葉です。
その【あじみこし】に関する心構えについて、例えば、身だしなみについては、以下のように付記されています。【清潔感ある身だしなみ、学習の場にふさわしい身だしなみ、安心・安全を最優先した身だしなみをしましょう】
一般的な校則には「…してはいけない」「…することは禁止」と否定的に規制する、いわゆる『べからず集』が多いように思います。それを180度転換して、肯定的に「…しましょう」と呼びかけているのが、【あじみこし】の心構えです。
そして、私はそれらが身についているかどうかが、紳士の判断基準になると思っています。
昨年度までの本校の『生活のきまり』も、否定的で細かい規制が多かったことは事実です。例えば髪型に関しても「男女とも髪の毛は眉にかからない。さらに男子は耳、女子は肩に掛からない。肩に掛かる場合は、黒いゴムで留める」といった具合でした。
この際はっきり言いますが、髪の毛を束ねるゴムの色など、何色だって良いのです。しかし、長い髪の毛を束ねずに実験や実習を行ったとき、その身だしなみで安心・安全を確保できるのでしょうか。
前髪が眉毛にかかっていようと、構いません。しかし、目を隠してしまうほどの前髪は、視力を低下させ、眼球を傷つける危険性もあります。それを安心・安全な身だしなみと言えるのでしょうか。
今、私は身だしなみを一例に挙げましたが、挨拶や時間、言葉遣い、姿勢についても同じです。誰もが快適な学校生活を送るための心構えを実行できているかどうか、まず自分に問い、自分の考えをもってください。その上で分からないこと、疑問に思うことがあれば、先生や友達と話し合いましょう。
「 Gentleman(紳士)の基準は?」という問いに、正解はないかもしれません。しかし、自分の考えをもち、それを他者の考えとすり合わせることで、共通理解は図れます。
そして、その共通理解こそ、板三中にとって最もふさわしい解、つまり「学校としての最適解」だと、私は考えています。