この事態における教員ICT研修四方山話Part3<和敏>
この事態、遠隔授業・オンライン授業が注目され、今まであまり縁のなかったテレビ会議システムの導入を検討する学校が多くなっているようです。そこで、少しテレビ会議システムについての四方山話を書いてみます。
テレビ会議システムと言ってもいろいろあります。この事態、授業として使うとなると、どんな授業を考えているかによるところが大きいと思います。学校としては、設定が簡単で、セキュリティ面での不安も少なく、子どもたちが参加しやすいもの。子どもたちとしては、操作が分かりやすく、授業に集中しやすいものになってくると思います。何よりも、安定したネットワーク接続が維持されるものであることは言うまでもないことです。 それでは、もう少し耳にした特徴を書いてみましょう。(無料で使用することを前提として) (1) アカウント (一部、変更箇所あり) A B C すべて、主催者は、それぞれのアカウントが必須。 アカウントは、無料で作成可能。 (2) 一画面に表示できる人数 A 通常25人(拡大表示49人:PCのスペックに左右される) B 16人 C 9人 (3) 同時接続人数 A 100人 B 100人 C 250人 (4) チャット機能 A B C すべて可能 (5) 画面共有(教師や子どもの画面をみんなの画面に表示する) A B C すべて可能 (6) 制限事項 A 3人以上の場合40分間 B 9月30日までは、連続300時間 それ以降60分間 詳細は、まだまだあるようですが、この事態で使うとなると、まず知っておきたい内容ではないでしょうか。 A、B、C どれが優れているかではなく、どれが、自校のめざす授業に近いかを検討することが大切になるでしょう。個別指導に使うのか、普段のような授業に使うのかで、適するシステムは変わってきます。 いずれも、無料版がありますから、一度試してみることが一番でしょう。 ※ 四方山話です。間違いがありましたらお許しください。 A:Zoomミーティング B:Google Meet C:Microsoft Teams この事態も、いつか落ち着きをみせ、いずれワクチンや治療薬が開発されることでしょう。しかし、それでもインフルエンザのように、ある時期、ある地域で感染が拡大し、学級閉鎖や学校閉鎖をしなければならない事態が起こることは想像できます。そんなときに、今回の経験からオンライン授業を実施する学校が出てくるかもしれません。「新しい日常」と同様に「新しい学校」として。そんなときのためにも、落ち着きを見せたときこそ、学級等を閉鎖するときの対策を検討していくべきかもしれません。 この事態における学び合い 先生の挑戦と生徒の思い <栗木>新学習指導要領には、「これからの社会が、どんなに変化して予測困難になっても、 自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、判断して行動し、それぞれに思い描く幸せを実現してほしい。」という願いが込められています。改訂の考え方として強く打ち出されてきたのが、「主体的・対話的で深い学び」を目指す授業改善です。教師の教えを一方的に受信する教育や知識・技能の習得を急ぐ教育ではなく、子どもが主体となってわからなさや困難さに自ら向き合い、仲間と協同しながら探究、思考、発見、創造していく「学び」にあふれた授業が大切です。ところが、今、その「学び」の場が奪われています。まさに、「予測困難」な事態が起こってしまったために・・。 世間では長期化する休校に、学習の遅れを危惧する声が高まり、各自治体や学校が工夫して、子どもたちの学力を保障しようとしています。ここでいう「学力」が、単に知識や技能の習得だけであってはならないと考えます。学力は「学び力」です。探究し、思考し、発見し、創造していく力がストップしてしまうことを恐れています。 ここに、離れていながらも僅かなつながりを活かして、「学び力」の継続に挑戦した一人の先生の工夫と生徒の思いを記します。 一公立中学校の社会科の先生です。二年生で歴史を担当していた昨年度末、全国一斉休校により単元の一部を積み残して終えることになってしまいました。四月になっても休校は続き、加えて、新年度は担当学年が変わることになりました。生徒たちは社会を、そして学びを楽しみ、なぜだろう、どうしてだろうと、同時代性に立って歴史を考えることを身に付けてきました。何とかして学び力を継続させたい、そう思った先生は、オンライン授業を考えました。オンラインといってもその学校にあるのは、学校ホームページと学校メール。一人一台のPCもありません。それでも、一方的な知識の伝達にならない方法はないか模索し、たどり着いたのが動画配信とメール送受信です。 教室で行われていた授業は、毎時間資料の提示から始まります。歴史ならば風刺画や当時を反映した絵画等が主です。生徒はそこから気づいたことや気になったこと、浮かんだ疑問を見つけ、仲間と対話しながら探究し、考えを繋ぎながら当時の人間の生き方や思想に迫っていくという授業でした。それと同じことを動画で行ったのです。一本目の動画は課題提示として資料を投げかけます。生徒には気づきをメールで送ってほしいと伝えました。始める前、返事は来ないと思っていたそうです。ところが、予想に反して初日から返事がきました。しかも複数。「上の絵は、何かが燃えていて、それを見て人々が喜んでいることに気が付いた。」「真ん中の絵は、武器を持って反乱している人々を政府の人達が止めている様子かなと考えた。また、上で燃えているのも反乱の一部なのかなと考えた。日露戦争に勝ったばかりなのにどうしてだろう。」これらを先生がつなげ二つ目の動画にして配信します。それを見た生徒がまた考えたり調べたりして考えを深めます。「僕は、この頃の国民は政府に『もっと戦争をしろ』というだろうと考えた。なぜなら日清戦争・日露戦争と二回続けて勝っていて、国民は苦しくても国自体は一度も攻撃されたことがないから、国民は負けることについてあまり考えないだろうし、日清戦争では賠償金がもらえ、いい思いをしただろうから、国民は『戦争をして勝てばいい思いできる』という考えになりそうだなと考えたからである。」というようなふり返りがメールで送られてきて、それをまた3本目の動画で紹介します。これを続けること約1か月。回を重ねていくうちに参加生徒も増え、最後の動画にはこんなメールが。「毎回メールすることは出来なかったけど、ただ教科書を見て暗記するだけでなく、ちゃんと考えて勉強できました。3年生なっても、話し合いと発言を大事にします!」 さらに予期せぬプレゼントが届きました。生徒の代表がラインで仲間の声を集め、先生にお礼のメッセージを送ってきてくれたのです。半数以上の生徒が参加していました。「人とかかわらないことがどれだけ人をだめにするか。かかわることの大切さを学べるのは学校がもつ意味の一つ。」先生の信念と愛情が生徒の心と学び力を動かしました。 この先生の挑戦は今、全教員に広がり、学校を元気にしました。顔は見られなくても心はつながります。つながることで学びは続きます。また、学びはその学級の先生と児童生徒のあうんの呼吸で育まれるもの。学級色豊かな学びが続いていくことを願います。 尚、「スクールライフノート」の機能を使えば、こういうつながりが生まれることも記しておきます。 ピンチをチャンスに変えよう(大西)
ピンチをチャンスに変えるとよく言われますが、今回の新型コロナウイルス対応のピンチをチャンスにできる学校は何が違うのかを考えてみたいと思います。
公立の学校では国や設置者である市町の教育員会の判断・指示に従うことが必要です。そのため今何をすべきかを自校で判断できない、また積極的に考えようとしなかった学校が多かったかと思います。もちろん、その一方で、今子どもたちに必要なことは何か、自分たちにできることは何かを考え実行した学校もたくさん目にします。学校全体でこうしようと考え判断したところもありますし、先生方が一人ひとりで今自分にできることを考え工夫している学校もあります。結果に100%満足できなかったとしても、自分たちで考え工夫し実行したことは先生方に大きな手ごたえと自信を感じさせたのではないでしょうか。やがて学校は再開されるでしょうが、未知の状況で新しい学校運営が求められることになります。この時、自分たちで考え・判断して行動した達成感は大きな力となると思います。ピンチがこれからの学校をつくるための基礎体力をつけるチャンスとなったのです。 質はともかく、この事態に対して私立学校の多くは素早く対応しているように思います。公立と違って自校単独で経営判断できることが大きな要因と思います。 公立の学校にそのまま当てはまらないことが多いかもしれませんが、私立の中学校高等学校での取り組みを紹介します。1人1台にiPadがある恵まれた環境だからできることが多いのですが、学校が、先生が変わるために大切なことが見えてくると思います。 政府による臨時休校措置の要請を受けた時には既に学期末だったために、目先の授業進度のことはそれほど大きな問題ではありませんでした。そこで今後のことを考えてICTの活用研修を集中的に行いました。この学校では役に立ちそうなアプリケーションやサービスを積極的に導入しています。有料のものも導入されていますが、一度導入したからといって翌年以降も自動継続というわけではありません。私立の学校は生徒や保護者からいただいているお金という意識が強いので、活用しながら積極的に見直しと入れ替えを行っています。新しいものが入ればその都度研修が必要になりますが、積極的に参加する先生ばかりではありませんでした。しかし、今回のことで、課題配布や提出にICTが有効なことはどの先生も実感しました。予想以上に多くの方が前向きに参加し、学校で使えるアプリケーションやサービスについての基礎的なスキルを身につけました。 積極的な先生は、休校中にオンラインで講演会を開き振り返りを全体で共有するといった先進的な取り組みを行いますが、誰にでもすぐにできることではありません。研修は受けたものの、課題のやり取りをオンラインで行なう程度にとどまる先生がまだ多数でした。この状況を変えたのが、新学年になっても休校が延長されたことです。「このままではいけない」と、先生たちの中に危機意識が生まれてきます。子どもたちの「学びを止めない」が先生方の思いとして共有されました。このことが、ピンチをチャンスに変える原動力になったと思います。 できることをやってみよう。教科主任会が中心となって、ゴールデンウイークまでに一度はオンラインで双方向の取り組みに挑戦しようと呼びかけました。これを使ってこうやってくださいと具体的に指示するのではなく、自分にできることをやろうという呼びかけでした。先生たちは交代で自宅勤務ですので、直接会って相談することもなかなかできません。どうしていいかわからない、何をしようかと悩む先生も多かったと思います。ここでポイントとなるのがホームページを活用した先生方の取り組みの見える化です。学年での取り組みや学級、教科での取り組みを簡単に紹介するのです。 同じように課題を与えて提出させるといっても、通常のワークシートをデジタル化しただけのものもあれば、自分で制作した自己アピールの動画や英語のスピーチといったものもあります。中国のある時代の成立から滅亡までをいろいろなツールを活用してグループごとにスライドにまとめるといった世界史の課題もありました。作ったスライドはオンライン会議システムを使って発表し、その評価をいろいろなツールを活用して共有します。事前に動画を見てからそれぞれ振り返りを提出し、よくわからなかったところを中心にオンラインで解説する授業もあります。また、ネット上でグループの考えをしゃべりながら、共通の画面で作業しまとめ、授業者は子どもたちの作業中はオンライン会議システムの音声だけを使って支援する道徳の授業も行われました。同じようなツールを使っても先生ごとに多様な試みがなされています。 自宅勤務が続きコミュニケーションが取れない時だからこそ、他の先生がどのような取り組みをしているのか気になります。取り組みの様子がホームページ上で紹介されることで、よい刺激とたくさんのヒントが得られます。多様な取り組みがあるから、自分にできそうなことが見つかるはずです。実際にオンラインの授業に挑戦した先生は子どもたちの関わりたい、学びたいという思いを痛いほど感じるようです。オンラインでの取り組みに挑戦する先生の姿がどんどんアップされていきました。 ホームページの記事の中で、「こんな時期だからこそ、自らの興味からより深い内容を追究していける力をつけてくれることを期待しています」といった、先生の思いが書かれていることがあります。ふだん他の先生の授業に対する思いを聞くことは意外と少ないものです。こういう思いを共有することも、先生方が授業を変えていくエネルギーにつながっていくと思います。 もう一つ鍵となるのが、校長の発信です。強制するのではなく、各自でできることに取り組んでもらい、その取り組みを共有する環境をつくった上で、ホームページ上で先生方の取り組みを価値付けしています。こういう状況だからこそ、ホームページは保護者や地域だけでなく、先生をつなぐ道具としても有効になっています。 今回のピンチをチャンスに変えるためには、機器の整備や研修といった環境面の課題が多いことは間違いありません。しかし、環境面が整っているから上手くいくとは限りません。授業と学びコラム「できない理由を探すことより、できることから始めましょう(大西)」でも述べましたが、現在の環境の中でできることからとにかくやることです。それが学校全体の取り組みでなくてもよいのです。たとえ個人の取り組みでも、一人ひとりができることをやろうとする空気をつくることが大切です。管理職は、「できない人がいるからやらないように」と足を引っ張るのではなく、その取り組みを共有し、「できることをやっている」ことを価値付けしてほしいと思います。その有効なツールがホームページです。ピンチをチャンスに変えようとしているかどうかはホームページに現れると思います。 今回のピンチをチャンスに変えることができたどうかは、学校再開後にはっきりするでしょう。一校でも多くの学校が、チャンスに変えられることを願っています。 「この事態における授業づくり授業技術四方山話」(和田) 振り返りで書く力をのばそう!
★ 図書館にある人気本「ズッコケ三人組」の作者は児童文学作家の那須正幹さんです。
那須さんは、「休校が続く今を“学びの機会”としてプラスに捉えよう」と次のようなメッセージを子どもたちにおくっています。 ≪日記をつけて自分のことを振り返ろう≫ ぜひ、やってもらいたいことは、日記をつけることです。こういうときこそ、自分の身の回りで起こったことをなんでも記録しておくということがすごく大切じゃないかと思います。自分のことを振り返るというのは大人になっても大切なこと。 いずれ必ず役に立つときがきます。 ★ 心理カウンセラーや臨床心理士の方もいろいろな場で提唱されています。 ≪褒め言葉で自己肯定感を高めよう≫ ノートやスマホのメモ機能などを活用して「今日、よかったことを三つ書く」「ほめ日記で自分を褒める」などを実践すると自己決定感や自己有用感が高まります。 ★ 新学習指導要領では、以下のように示されています。 新学習指導要領 総則編(第1章第4の2(4))より一部抜粋 ≪各教科等の指導に当たっては、児童が学習の見通しを立てたり学習したことを振り返ったりする活動を計画的に取り入れるように工夫すること≫ 各教科等の指導に当たっては,児童が学習の見通しを立てたり学習したことを振り返ったりする活動を計画的に取り入れるように工夫することが重要であることを記述したものである。具体的には,例えば,授業の冒頭に当該授業での学習の見通しを児童に理解させたり,授業の後に児童が当該授業で学習した内容を振り返る機会を設けたりといった取組の充実や児童が家庭において学習の見通しを立てて予習をしたり学習した内容を振り返って復習したりする習慣の確立などを図ることが重要である。これらの指導を通じ,児童の学習意欲が向上するとともに,児童が学習している事項について,事前に見通しを立てたり,事後に振り返ったりすることで学習内容の確実な定着が図られ,思考力・判断力・表現力等の育成にも資するものと考えられる。 ステイホームの間、「話す活動」はかなり制限されました。 逆に「書く活動」は個人差はあってもいつもより増えたのではないでしょうか。この状況を活用して学校再開時には、「振り返り」を習慣化し書く力を高めることにつなげていきたいものです。今まで実践していなかった先生もこれを機会にチャレンジしてみましょう。 ≪振り返りのワンポイント≫ 1 授業の終わりに振り返る時間を設定します。 2 毎日続けることで学びを振り返る習慣が身に付きます。 3 個に応じて書く量に差があります。 4 「よくわかった」ではなく、「・・・と言う考え方がよくわかった」と考えた内容や過程を書くようにします。 5 苦手な子は他者の振り返りを聞いて、自分に近い考えを選択することからスタートします。 6 振り返りの内容は次時の導入や課題設定に活用できます。 日本教育新聞社に「C4th Home&School」の実践掲載教育現場のネットワークシステムなどを扱うEDUCOM(愛知県春日井市)が提供していると題しての記事です。次のように紹介されています(一部のみ紹介) 同システムは、インターネットを通した学校から保護者への連絡機能が中⼼。保護者がスマートフォンに専用アプリをダウンロードし、学校から配布されたIDとパスワードで登録すると利用できる。ログインできるのは本人のみだ。教員も保護者と同様に登録し、アプリや校務用パソコンから保護者に情報を発信したり、登録している教員同士でやりとりをしたりする。 情報のカテゴリーは、「校長先生からの言葉」「クラスからの連絡・宿題」「お便り・資料連絡」「グループ通知」など。 ※詳しくは本研究所サイトの「研究所&EDUCOM関連発信」に掲載した記事からお読みください。 この事態における授業づくりと授業技術四方山話」(和田)子どもとの絆を深める学習規律 (小学校版)
三つの密(三密)についてのお話
(1)風通しのよくない「ムンムン」する建物やお部屋にいないようにする (2)人が「ギュウギュウ」と、たくさんいる場所には行かない (3)人とお話するときは、「ガヤガヤ」と近づいて話をしない これは、小学校1年生でもわかるように「三つの密」について知事がテレビで伝えた内容です。先生が朝の会で毎日お話をし、帰りの会ではそれが守れたかどうかを確認するそうです。高学年には優しすぎるという意見もありましたが、「ムンムン」「ギュウギュウ」「ガヤガヤ」という表現は子どもにはとても分かりやすく好評のようです。合言葉のように子どもの心に残るキーワードを取り入れたことがよかったのでしょう。 つまり、三密を伝える側(教師)、受け取る側(子ども)の双方にとって簡単で覚えやすく合言葉のようになると周知徹底しやすくなるのです。まさに、学習規律の基本と言えるでしょう。 今、学校が再開しても入学、進級したときと同じように学習規律を身に付けることからスタートしなくてはなりません。コロナの状況から三密に関することも含めて教師はたくさんの規律を子どもに徹底させなければいけない状況にいます。しかし、子どもは登校し、友達と再会できた喜びでいっぱいのはずです。禁止行動ばかりを話すスタートではなく、笑顔で学習規律が身に付くように工夫していきたいものです。その一例を書いてみます。 1 禁止行動より推進行動を示す 「廊下を走らない」ではなく「静かに歩こう」 「大きな声を出さない」ではなく「〜ぐらいの声で話そう」 「〜してはいけません」と禁止するときは、どうしてもきつい口調になり注意している雰囲気になります。「〜しよう」と望ましい行動を促すときは温かな雰囲気が伝わります。人の名前を呼ぶ時に「○○」と呼び捨てにすると、どうしてもその後にネガティブな言葉が続くが、「○○さん」と呼んでから話し始めると落ち着いて話ができると先輩から教えてもらいました。特に生徒指導のときに役立った経験があります。挨拶も「○○さん、おはようございます」と名前がつくとより絆が深まります。 2 自分で振り返りをする 「ルールを守れましたか? 守れた人は手を挙げてください」という教師の言葉をよく耳にします。手を挙げた人数が評価の基準となっています。守っていなくても挙手する子が出てきてしまったという経験はありませんか。授業も含め、学習規律の徹底にも子ども自身の振り返りを共有することをお勧めします。 T: 「ギユウギユウはどうでしたか」と発問をする C1: よく守れた。手が届くようなところに人がいなかったよ。 C2: 手を洗う時にちょっとギュウギュウに近くなっちゃった。もっと離れて後ろで待てばよかった。 他の子どもたちもC1やC2の意見を聞いて自分はギュウギュウを守れたと言っていいかどうかを判断し、明日からの行動を考えるようになります。 近づきすぎると「ギュウギュウになっているよ。もう少し後ろで待ってね」と子ども同士が声かけ合うようになれば、規律がかなり徹底されてきたと言えるでしょう。 教師は、子ども同士の温かくなるような声かけ場面をみつけ、その事例を広めることに力を注ぎましょう。「先生、そんなことまで見ていてくれたんだ。嬉しいな」と子どもが思うような場面紹介ができると信頼が深まります。 この事態における学校でのICT活用四方山話 Stage4<神戸>
今までは、授業に関することを書いてきましたが、今回は、学校生活について書いてみたいと思います。
★ 人と人との接触を減らす 学校生活が少しずつ始められるようになったら、感染拡大防止のため人と人の接触を減らしたり、大きな声での会話を控えたりすることになるでしょう。そうなると、毎朝の健康観察の結果集計のために、養護教諭が各教室をまわることも止めなければならないし、子どもたちへの朝の口頭連絡も減らす必要が出てきます。同様に、職員間の打合せも口頭ではなく文字で伝えることが望まれます。こんなときこそ、ICTの活用を考えるとよいと思います。担任が教室からタブレットを使って、出欠席を入力するだけで、養護教諭の手元のPCに集計結果が表示される。養護教諭は各教室をまわらず、短時間で把握でき、的確な対応ができるようになります。連絡事項も口頭ではなく、掲示板機能を使って教室のディスプレや大型提示装置に表示すれば、概ねの連絡は完了できます。1人1台のPCが実現できていれば、子どもたちのPCに連絡事項が表示されます。職員間は、現状の統合型校務支援システムをフル活用すればいいわけです。ネットワーク環境はかなり整備されています。人の移動や接触を極力減らすために、ICTをどう活用するかを考えていくことが重要になるのではないでしょうか。今までとは違った、新しい学校生活を築くつもりで。 ★ 使い回しのタブレット GIGAスクール構想が注目されていますが、1人1台のPCを実現している自治体・学校は、まだまだ少ないです。しかし、この事態ですから、授業が再開されれば、学校のタブレットを子どもたちに貸し出すことが考えられます。それでも、1人1台のPCが実現できる学校は少なく、1台のタブレットを何人かの子どもで使い回すことになるのではないでしょうか。手洗いを徹底させている状況ですから、タブレットも、使うたびに消毒・除菌を行わなければならないでしょう。しかし、そんなことは、現実的ではないです。そんなとき、次のような方法で活用しようとしている学校があります。それは、タブレットを無色透明な袋の中に入れて使い、使い終わったら袋を廃棄する。次の学級も同様の方法でタブレットを使う。こうすれば、タブレットの消毒・除菌を行う手間は省けます。袋への入れ替えは、先生が使い捨て手袋で行うそうです。 (こんな時だからこそ、許される使い方かもしれません。静電気や熱には十分注意) これだけのことをしてまでもタブレットを使うのには、「3密」を避けながらも子どもたちの学びを保障していこうとする姿勢からだと思います。 ★ 子どもを守る、職員を守る さて、とっても難しい課題があります。それは、職員室です。想像してください。職員室の先生方の机の配置と机上の様子を。かなり密な配列がされ、たくさんの資料や本が山積み、空いているスペースなどほとんどないのではないでしょうか。子どもたちの安全を守るためには、子どもたちの前に出る先生方が安全な環境で仕事ができていなければならないはずです。毎日、毎時間かは分かりませんが、定期的に机上の消毒・除菌をする必要が出てくるのではないでしょうか。「3密」を避けるのは、子どもたちだけでなく、先生方も同様のはずです。 まずは、机上の整理整頓から。(ICTに関係ありませんでした。) この事態における学校でのICT活用四方山話 Stage3<神戸>そこで、オンライン授業を少しでも普段の授業に近づけていきたいという思いから、四方山話を書いてみようと思います。 Stage3 つながるための双方向授業づくり ★ 動画配信のその後に いろいろな形で動画配信が行われています。しかし、その動画を観た子どもたちの「分からない」「何故だろう」という疑問や感想・意見をどう子どもたちにつなげていくのかで、先生方は苦慮しているようです。ある学校では、動画の最後に、「意見や質問はメールで!」と示し、学校の代表メールアドレスを紹介していました。これだけでも、子どもたちの学びを大切にしようとしていることが感じられます。学校と子どもがつながる手段として、メールを使うのはICT活用としても意義のあることだと思います。その後、その疑問を発信者に返すのみでなく、新たな課題として、学年の子どもたちへ投げかけ、子どもと子どもをつないでいこうとしているのです。ただ単に動画配信するより、かなり有効だと思いませんか。しかし、どうしてもタイムラグがあるため、間延びしないよう、つなぐ内容も、普段の授業以上に吟味しなければならないようです。 GoogleのClassroomやEDUCOMのスクールライフノート等を使うことで、疑問や意見を即座に共有することができます。そこから、友だちの考えやアドバイスを読み、課題を解決したり、学びを深めたりしていくことが可能性になっていくと考えられます。(通常の授業でも活用でき、さらに大きな効果が期待できます) この事態、動画配信を行うことは、とても価値のあることだと思います。しかし、それだけではもったいないと思いませんか。動画配信のその後に、チャット的なものや、ポートフォリオ的なものを入れることで、子どもをつなぎ、学びを深められれば、さらに価値あるものになっていくと思います。 ★ テレビ会議システムの活用 このような事態になり、急激に学校教育に入ってきた「テレビ会議システム」を活用した「オンライン授業」。「動画配信」との違いは、リアルタイムに授業者が子どもたちの顔を見ることができること、子どもたちが授業者や友だちの顔を見ながら、授業に参加できることです。子どもたちの表情が見られるから意図的指名ができ、子どもの「分からない」をすぐに共有でき、子ども同士の話し合い・聴き合いができるところです。さらに、グループでの学び合いも可能になります。そう考えると、かなり普段の授業に近いことができるようです。しかし、目の前に子どもがいるわけではないですから、手元でやっていることが分からなかったり、分からない子どもが、隣の子にそっと聞いたり、周りの子の様子をモニタリングしたりすることは難しいです。こんな点から、授業者が子どもと子どもをいかにつないでいくかが、とても大切な要素となっていきます。 授業スタイルは、Stage2の「動画配信」でも書いたように、普段の授業を行ってほしいと思います。スライドショーを一方的に説明しているような、よく見かける動画配信のスタイルではなく、子どもたちの思考に寄り添って、子どもたちの言葉を板書したりして、一時間の授業の流れが、カメラを通して子どもたちに分かるようにしていくとよいのではないでしょうか。折角、画面を通して、対面しているのですから。そのメリットが十分に発揮できるようにしてほしいものです。 それでも、目の前に子どもたちがいる教室での授業のようには、なかなか出来ないと思います。 得意な子どもは、それなりに学んでいくでしょうが、不得意な子は、一人だけでは困難な場面が多くなり、孤立してしまうかもしれません。「分からない」子どもを、通常の授業以上に大切にし、生かしていくよう心がけていく必要があります。また、保護者の協力は不可欠だと思います。十分な理解が得られるように努め、子どもたちを支援していただき、授業を進めていけることを願っています。 この事態における学校と保護者と地域四方山話 できるといいなあ編 <栗木>
前回は現職としての体験を記しました。今回は、現職を離れて、こんなことができるといいなあという願いを込めて記します。
2重構造できるといいなあ 前回の最後に、学校ホームページ作成機能を使って、卒業式の様子を配信したことを書きました。卒業式に限らず学校で何かあると、アクセス数が急増します。時には児童生徒数の数倍になることもあります。アクセス数はいわば、その学校への関心度のバロメーターだとも言えます。今、この事態になって、学校ホームページが学校と児童生徒・保護者をつなぐ大きな役割を果たしていることは間違いありません。ある地域では、ホームページで先生方が児童生徒に励ましの言葉を伝え、それを見て「帰る場所がある」と子どもたちが感じたというすてきなニュースがありました。学校ホームページは心の拠り所でもあるという証です。それは児童生徒と保護者だけではありません。ホームページの一画から校歌を聞けるようにしたら、瞬く間に卒業生に広がったという話も聞きました。地域の方々、今までその学校に携わってくださった教職員、そして卒業生。皆さんがいつまでも学校を応援してくださってホームページを見てくださいます。それだけに、学校はより多くの応援者を意識した発信をする必要があります。同時に全世界に発信されているのですから、守るべきものも多々あります。このことからも、「C4th Home&School」で学校と保護者、児童生徒ががっちりつながり、同時にちょっと広い視野に立った発信を、ホームページ機能で行う、2重構造で行くという方策ができるといいなあ。 双方向できるといいなあ 学校ホームページや緊急メール配信を使っての学校としての発信は、多くの学校で行われています。しかし、ふと不安になることはありませんか?一方的な発信ばかりでよいのだろうかと。この事態になって児童生徒にも会えない今、求められるのはやはり双方向のつながりです。ある学校でこんなことがありました。生徒会執行部が学校ホームページを使って、全校生徒にある呼びかけをしたいとお願いしたそうです。その呼びかけとは、「こんな時だけど一日ひとつ、誰かを幸せにしよう、幸せをもらおう」というプロジェクトです。学校では会えないけれど、生徒会が大切にしてきた互いの良さやがんばりを認め合う活動を続けたいからと、それを学校代表メールに報告してもらって、ホームページで紹介することにもしました。呼びかけの翌日、早速生徒からメールが届きました。予想外に、保護者からもメールが届きました。そこには、「暗いニュースばかりが続く毎日、先生や生徒会の皆さんの取り組みを知り、涙が出ました。」「書きたいことはたくさんあります。でもまずはありがとうと伝えたいです。」と書いてありました。生徒も先生も心がほっこりして、つながりのリングができました。生徒会はさらに、学習する意欲づくりにつながる働きかけを生徒同士でできるチャットのようなものが学校ホームページにもあったらなと願っているそうです。 どんな事態になっても、いやこんな事態だからこそ、みんなが前を向けるのは、互いの「声」が交わせるからです。児童生徒・保護者・地域と学校が双方向コミュニケーションできるといいなあ。 開催できるといいなあ 昨今、多くの地域で「コミュニティスクール」が導入され、「学校運営協議会」が立ち上がっています。導入はまだでも、「学校評議員会」制度を取り入れている学校もあるのではないでしょうか。通常4月5月に、第一回目の会が実施されます。さて、今年はどうなのでしょうか?「三密」を避ける意味で見送られるかもしれません。個人的には、この事態だからこそ学校運営協議会が開催されることを望みます。そこで今、学校で起きていること、困っていることや望んでいることなどを伝え、保護者代表から家庭での様子や要望を聞き、それをもとに今できることを熟議することも可能です。児童生徒が外に出なくなって、地域の方にも子どもたちの様子が見えにくくなっていることでしょう。学校の中で何が起きているかが見えなければ、社会に開かれた教育の実現は難しく、一昔前の学校に逆戻りです。今こそ、学校運営協議会を開催して地域・家庭・学校が一体となるときではないでしょうか。そこで、できるといいなあの3つ目は、三密を避けるためのオンライン会議です。政府の示した「新しい生活様式」にも、オンライン会議の推奨が盛り込まれました。今すぐのオンライン授業はハードルが高くても、校内にそれができる環境が一つでもあれば、まずは大人がそれを体感することから始められます。メリットデメリットも体感して初めて得られるのですから。この事態が収束したあとも活用できれば、来校して参加する委員と家庭から参加する委員があって、出席者も増え、より多方面から熟議できます。開催できるといいなあ。 この事態における教員養成四方山話 (愛知教育大学教職大学院 野木森)
教職大学院生にとって、修了報告書の作成につながる教育実習は、最も大切な学修です。ところが、この事態で実習計画を何度も作り直す事態となっています。
まず、「協調学習」を実践しようとしていた学生は、現場から「授業で話し合いをするのはダメ」と言われ、やむなくテーマを「振り返り学習」に切り替えて理論を書き直しています。また、体育の学生は、「マット運動」で一単元分の指導案をほぼ完成させたところで、「カリキュラムを組み直したので、ハードル走になった」と言われ、新たに指導案を作り始めました。 現職の院生は、現任校で若手を指導する「メンター実習」で苦慮しています。計画では、若手教員に授業カンファレンス等を行い、指導助言をした上で効果的な指導のあり方について省察するという内容です。ある院生は、メールで「メンター実習を、昨年度の未履修分野の内容が終了し、且つ分散登校の対応が終了する6月1日から開始します。実習時間が35時間以上とあるので、およそ6月1日から2,3週間でしょうか。今後、休校期間や分散登校の期間が延びた場合、実習の開始日がずれ込むことが予想されます。いつ実施できるか分かりません。」と相談してきました。授業日に行うという、平時の実習モデルにこだわっています。今は緊急時です。発想を転換する必要があります。私が返したメールの概要は、以下の通りです。 ―以下、メール文― コロナの影響で、授業再開が見通せない中、苦慮していらっしゃることと思います。そこで、提案ですが、思い切ってこの機会を利用してはどうしょうか。つまり、教材研究は、子どものいない今こそチャンスです。教材づくりや単元計画、及びその助言は、子どもがいない今でもできます。むしろ、休校中に子どもに出すべき適切な課題の検討や、遠隔授業のやり方を共に研究するなど、この事態に適した内容を取り入れてもいいかもしれません。授業カンファレンスも、模擬授業を通せばできます。複数の先生方に生徒役になっていただくなど、ご協力いただけばいいのです。授業日に2〜3週間などと固定的に考える必要はありません。授業再開を待たず、できる時に随時行いましょう。いやむしろ、既に行っているのではありませんか。教科に関して相談されることがあれば、それは既に若手育成の実習です。 それらの日時や指導内容を随時記録して35時間に達すればいいのです。そして、それらを最後に振り返って、自分の若手育成にどんな効果があったか、どんな課題が残ったかを自己省察して報告書にまとめれば、実習は成立します。この機会に、当該若手教員への指導の機会を積極的に仕組んでください。今後、事態の悪化は、いくらでも起こり得ます。手をこまねいていては、時間が過ぎるばかりです。これを機会に、自らの実習をセルフコーディネートしてみてください。今できることに取り組みましょう。 ―メール文、以上― いかがでしょうか。折しも、学習指導要領が示す「予測困難な時代」が、こんな形で急来してしまいました。今必要なのは、「変化に受け身で対応するのではなく主体的に向き合い、自らの人生を切り拓く力」(どこかで聞いたような言葉ですが・笑)です。教員こそが柔軟に対応したいものです。 できない理由を探すことより、できることから始めましょう(大西)
今回の緊急事態宣言で、学校と子どもたちのつながりこれまでなかったほど分断されてしまいました。子どもたちや保護者との直接のコミュニケーション手段が制限されてしまった今、子どもたちの状況を何とかして知りたいと先生方は思っていることでしょう。学校休校でも先生方はこの状況に対応するため忙しく働き、頭を悩ませていることと思います。
学校がこのような事態に対応するために持っているリソース(資源)は限られています。そのリソースをどのように使うかが状況改善の鍵となります。 学校では平等であることを非常に重んじます。今では普通になった保護者への一斉メール配信も、「携帯を持っていない保護者がいるから全員には知らせられない」といった理由ですぐに実現しなかったことを思い出します。この他にも、「緊急なのにすぐに見ない人はどうする」「個人情報の問題でメールアドレスを教えてもらうことはまずい」といったことも実現を妨げる理由となりました。 ここで考えてほしいことは、2つあります。一つは、全員同じでなくてもそのことで大多数に大きなメリットがあれば、やるべきだということです。だからといって少数を切り捨てろということではありません。少数への対応をていねいにすればいいだけなのです。携帯を持っていない、登録を拒否する方への代替手段を講じればよいのです。 もう一つは、できない理由ではなく、そのできない理由をクリアすることを考えることです。ネガティブを見て止まってしまうのではなく、ネガティブを克服すれば前へ進めると考えるのです。メール配信をすぐに見てくれないことへは、「事前にこのような事態になったときは、メール配信で連絡します」とくり返し周知することや、ホームページや電話連絡などの代替手段を考えることです。私が開発のお手伝いをしたシステムでは、メールを読んだことを知らせてもらう機能をつけ、読んでない方には別の方法で知らせるようにしました。また、個人情報であるメールアドレスを登録するのに、学校からは登録サイトを保護者に知らせるだけにして個人情報を直接管理しないようになっています。要はできるようにするために工夫をすることなのです。 子どもたちの様子を知りたいという先生から、オンラインの会議システムを使いたいという要望をよく聞きますが、それに対して、全員を対象とできないからとそこで検討を止める学校と実現する方向で知恵を絞る学校とに分かれています。地域によって学校や保護者の状況は違いますから一概には言えませんが、オンライン会議に参加できる環境があるかを調査し、条件を満たす子どもが一定数いるので、できない子どもには学校の機器を貸与して実現している学校もあります。一方、全員と連絡できない、用紙を回収して集計が大変・・・といったことで、環境の調査すらしていない学校もあります。 子どもの課題を先生が一生懸命印刷して、子どもたちに時差出校させている学校もあります。ホームページを通じて各家庭でダウンロードしてもらい、その環境がない子どもにだけ紙で配布している学校もあります。全員同じにこだわらず、学校にある限られたリソースの一つであるホームページを有効活用しようとする姿勢があるかどうかの違いで状況は大きく変わるのです。 そしてもう一つ、こういった柔軟な対応を妨げるのは学校や先生の横並び意識です。ある学校が先陣を切って新しい対応をすると「あの学校がやっているのに何でやらないのか」といった苦情が保護者からくるので、全員で足並みをそろえようと待ったがかかる。ある先生が子どもたちへのメッセージを動画でアップしたいと言ったら、「私はできないからやってもらっては困る」と止められたりすることもあります。今は非常時です。少しでも子どもたちプラスになることを素早く実行することが求められます。そうではなく、「私たちもやりたいから教えて、手伝って」と言ってほしいのです。 アンケートをつくってオンラインで集計することができるホームページシステムもあります。全員に電話で様子を聞くことは大変ですが、こういったアンケートを使うことで、手軽に子どもたちの様子を知ることができます。連絡のない子ども、アンケートの結果が気がかりな子どもに対象を絞ってていねいに対応することができます。学校と保護者の双方向の連絡ができるシステムを使えばより緊密なコミュニケーションをとることが可能です。こういったシステムがないからできないと諦めるのではなく、少しでもそこに近づけるよう工夫して動いてほしいのです。 企業も学校を助けるためにいろいろな支援を無料で行っています。無料だと言っても使うためには準備も手間もかかります。それを乗り越えようとするかどうかの姿勢が問われているのです。 今回の事態への対応が、これからの時代に対応できる学校かどうかの試金石となります。子どもたちのために学校や先生が何をやろうとしているかを地域や保護者もみています。できることから始めましょう。 この事態における教職員四方山話 (和田) 「先生、元気でいてくれてありがとう!」でも、学校はなくなっていませんし、必ず再開の日がやってきます。子どもは「私が戻る居場所」として学校を思う気持ちが高くなっていると思います。子どものために「先に生まれた」先生が「先に元気に」なってください。 そこで、できることを始めましょう。発想を転換して、いずれやらないといけなかったことを前倒しし、学校が再開したら一番したかった子どもとの時間に費やしたいです。 では、どんなことが今できるか考えてみました。 1 年間計画の見直し 登校したら、時間数の多い教科を進めようと思いがちです。でも、心がまだ入学式、始業式の時点でストップしています。感染対策の授業もしなくてはいけません。来年の3月まで授業はできると考えて優先する授業を決めておきます。 再開後、第1週~第4週までの授業を学年で相談しておくと安心できます。 道徳・・・週1時間ではなく、授業時間を集中して増やします。「命の大切さ」「信頼友情」などの様々な観点から心のケアをします。今だからこそ、心に響く授業ができることでしょう。 保健体育・・・保健の授業で感染対策の話をします。朝の会などの短い時間で何度も説明するのではなく、きちんと授業としてカウントできるようにします。養護教諭と連携して話をしてもらうこともできます。 国語・・・休校の期間にいろいろな思いが子どもにはありました。「詩」「俳句」「短歌」「作文」などの単元を先に実践してみるのも手だての一つです。よい作品は応募作品にすることもできますが、夏休みの応募は検討の余地がたくさんありそうです。今なら、学校全体で決めておくこともできます。 2 教科書の見直し まずは、全教科書を読んでみます。読むだけで、「この単元は時間がかかる」「ここはスピードアップできる」「ここは年度末にやっても大丈夫だ」などの見通しがわかってきます。これは立派な教材研究です。教科書を読むときには、付箋を用意してメモをします。「発問は〜」「画用紙で△を準備」「デジタル教科書の〇ページ活用」など何でもいいので思いついたことを付箋で残します。国語辞典で調べたページに付箋をつけその数がどんどん増えるという実践がありました。先生も付箋が増えると教材研究の可視化ができます。 一人でもできる教材研究で「子どもを迎える心の準備」と「登校後の仕事の集中の回避」を進めてみてはどうでしょうか。先生を応援しています。 この事態における学校と保護者と地域四方山話 実体験編 <栗木>
世界中で、人類の「生命」を守るための取り組みがなされています。医療現場でご自身や家族の危険を感じながら懸命な治療にあたってくださっている多くの人々、感謝の言葉も見つかりません。事の大小を問わず「生命」の安全確保に向けて自粛したり、知恵を出し合ったりしている今、「想定外」の出来事の連続に葛藤しながらも、今まで築いてきたものを根本から見直す、そんな機会が訪れています。とりわけ学校は、その「見直し」を最も余儀なくされています。しかし、現実は、休校に次ぐ休校で「見直し」どころか「やり直し」の連続。正直疲れてしまっている学校関係者も多いのではないでしょうか。その気持ちは痛いほど理解できます。
というのも、個人的な話になってしまいますが、この3月末まで現職として学校現場にいたからです。コラム一回目はその経験と感じたことを「生き証人」として記します。 昨年末頃から囁かれ始めたコロナ感染への心配。大変なことになりそうだと思いながらも、どこか他人事でした。目の前に迫った卒業式に向けて学校が一丸となって動いていた時期でしたから。2月末、状況は一転しました。教頭という立場上、様々な決断や先を見越しての準備はもちろん、地域や保護者への説明や対応にも追われました。一つ計画して対応しても次の日には違う事態になってやり直し。次の日ならまだしも朝と夕方では対応を変えないといけないこともありました。緊急メール配信には大変お世話になりました。お詫びの連続でしたけれども。 中でもつらかった対応は、「卒業式への来賓、在校生参加不可」の時です。勤務校は小規模校で地域密着型の中学校でした。保護者も地域関係者も「おらが町の子どもたち」として見守ってくださり、80%近い生徒が地域行事にボランティア参加する学校です。ある区長さんは「あの子たちを祝ってやれんのか」と残念がってくださいました。今でもその時の声が頭の隅に残っています。職業人体験でお世話になった地域の花屋さんが、「人が少なくて会場も寂しいでしょう、これを飾ってください。」と大きな大きな胡蝶蘭を貸してくださいました。生徒がボランティアで訪れていた児童館の職員さんが、「会場に入れないのならせめて」と手作りの横断幕をもって沿道から見送ってくださいました。つらいのは学校だけではなく、地域の皆さんも一緒でした。それでも学校に力を貸してくださることにただただ感謝でした。地域とともにある学校づくりをすすめてきてよかったと思いました。 卒業式で、地域の方々の思いを卒業生に伝えました。「皆さんを直接お祝いできなかったことをとても残念がっていらっしゃいました。皆さんは、地域の一員として今まで育ててもらいました。そして、これからもその一員であることに変わりはありません。地域を守り、地域を育てていける人としてこれからも温かい気持ちを大切にしていきましょう。」と。卒業生は頷いて聞いてくれました。学校のホームページ作成機能を使って、卒業証書授与の様子を掲載しました。ホームページをご覧になれないご高齢の方もいらっしゃるので、その写真と文章を通信にして回覧して頂きました。今思えば、出席いただけなくてもメールで餞の言葉を頂戴したり、あるいは通信をお礼の手紙に添えてお渡ししたりすればよかったと後悔しています。が、バタバタしているうちに退職してしまいました。 今回のことで、もしかして「来賓参加を見直せた」という方もいるかもしれません。でも、学校というのはやはり学校だけで完結するものではないし、教職員や児童生徒だけの場ではありません。いずれは地域に帰っていく児童生徒を預かって育てるのが学校です。新学習指導要領で求められている「社会に開かれた教育」の必要性を実感しました。また、今までやってきたことの本質が想定外の事態の時に表れるとも思いました。 「見直す」のは時短のためではありません。「不易流行」、芭蕉の精神です。 この事態における教員ICT研修四方山話Part2<和敏>
5月1日に、文部科学省から「分散登校を行う際には、進路の指導の配慮が必要な小学校第6学年・中学校第3学年等の最終学年の児童生徒が優先的に学習活動を開始できるよう配慮すること。併せて、最終学年以外の指導においては、教師による対面での学習支援が特に求められる小学校第1学年の児童にも配慮すること。」という通知文が出されました。他の学年の学力保障はどうなるのか?という問題は、今は取り扱わないことにします。
しかし、児童生徒がどのような形であれ登校すれば、「3密」対策は必須でしょう。各学校は、どのように対応するのか、今から考えておかなければ間に合わないと思います。 いずれにしても40人近くの児童生徒が一つの教室で授業を行うことは難しいと思われます。分散登校というが、そんなに簡単なことではないように思います。1クラスを2つに分けて・・・ということも言われていますが、人材の確保等非常に難しい問題があります。 期待に胸膨らませ、登校してきた子どもたちの思いに応えられるよう、まだまだ学校は工夫の日々を続けていく必要があると思います。 ICTを積極的に活用して、こんな取組・研修を行っているという、四方山話を書いてみたいと思います。 =子どもたちを迎え入れる前に= ★校内LANの活用 登校可能になっても、今まで通りの学校生活は難しいと思われます。皆さんは、どんな学校生活を想像しているのでしょうか。キーになるのは「3密」でしょう。「3密」を回避しながらの授業は、遠隔授業に近いものではないでしょうか。そう考えると、ICTの活用も必要になってくると思います。登校できない今、様々な取組を行っている学校や自治体があります。登校可能になったときには、これらのノウハウが必ず役立つことでしょう。 登校できないときは、インターネット経由ということで、いろいろ制限があったことと思いますが、登校してくれば、校内LAN(WiFi)で実施でき、少しは自由度が増すのではないでしょうか。端末もある程度は整備されていると思います。やれなかったことが、やれるようになるかもしれません。(文部科学省2019年3月 教育用コンピュータ1台当たりの児童生徒数5.6人/台 校内LAN整備率90.2% 無線LAN整備率34.5%) ある学校では、1クラスを2つに分け、同時に授業を進めていく方法を模索していると聞きました。ICTを使うとすれば、テレビ会議システムを活用したり、カメラとプロジェクタをつないだりして、子どもたちが互いの教室の様子を観ることができる環境を作り、授業を進めていくことを考えているようです。(空き教室があれば)また、集会等も諦めるのではなく、学校にある設備等でやれる方法はないか、真剣に考えておられます。 先生方みんなで考え、取り組んでいけば、必ず可能性が見えてくると思います。今は、そんなことを考え、準備する時間も確保していくことが重要かもしれません。 ★主体的・対話的で深い学び 文部科学省の通知には、「身体的距離を確保した座席配置」として、「児童生徒の席の間に可能な限り距離を確保し(おおむね1〜2メートル)、対面とならないような形で教育活動を行うことが望ましい。」と書いてあります。 一方、学習指導要領には、「主体的・対話的で深い学び」とあります。 感染症対策として「3密」は避けなければならいですが、授業を行うものとしては、グループでの対話は、実施していきたいと願っているのではないでしょうか。こんな時も、ICTを活用したグループ活動はできないかと、話し合うことが大切だと思います。テレビ会議システムが校内でも活用できれば、グループでの対話は簡単にできます。また、イヤホンマイクを使って、グループの話し合いを行うことも考えられるでしょう。授業を進めることばかり考え、以前のような一斉型詰め込み授業に戻ってしまうことは避けなければならないと思います。テレビ会議システムを使ってのグループセッションも、家庭から行っていたときより、他のグループの様子が観られることによって、効果が大きくなると期待できます。 学校現場は、子どもたちが登校し始めてからの学校生活をシミュレーションしていくことが大切になっています。そんな中、「3密」を避けることを考えると、やはりICTを活用することになると思います。そして、ここでの活用が、1人1台のPC時代を築く土台となっていくのではないでしょうか。 また、子どもたちとどんな学校生活・授業を行っていくか話し合い・研修を重ねていくことで、きっと素晴らしいアイデアが生まれ、これまでと違う学校生活・授業が創り上げられていくのではないでしょうか。 担任になったつもりで「心の天気」を説明(玉置)その中で、ゼミ生の金子さんが、もしこの事態(長期休校)で学級担任だったら、「子どもたちにこう呼びかけて「心の天気」を使って子どもたちと結びつきたい」という思いを動画で表してくれました。 以下のところをクリックしていただくと、2分間の「心の天気説明動画」をご覧いただけます。ぜひご覧ください。(玉置) https://drive.google.com/file/d/1o2ob-QtHeyzwku... この事態における学校でのICT活用四方山話 Stage2<神戸>Stage2 動画配信 Stage1で書いたように、「子どもたちとのつながり」を中心にStare2へと進みたいと思います。 さて、学力保障の点から、各学校や自治体から動画が配信されています。どれも、プレゼンテーションやキャラクターが出てきて、動画としてのレベルはかなり高いのではないかと思います。しかし、レベルが上がれば上がるほど、少しでも苦手意識がある先生は、「自分には無理」と諦め気味になってしまうのではないでしょうか。そこで、私が考える動画配信をお話ししたいと思います。 ★ 普段の授業の一コマを動画で配信 こんなことを聞いたことがあります。研究授業や授業参観で見かける特別な授業より、毎日の授業を大切にする。今の状態も同じではないでしょうか。 先生方は、授業のプロです。決して、プレゼンのプロではありません。(得意な方はおられますが)ですから、普段の授業を大切にし、普段通り黒板(ホワイトボード)に向かって板書し、子どもたちに学びを促すような課題に取り組ませる。そんな授業の一コマを、ビデオで録画して動画として配信すればいいのではないでしょうか。先生の顔が見え、先生の声が聞こえ、先生の立ち振る舞いが観え、少し癖のある字で書かれた板書が読める。(多くの先生はきれいな字を書かれます。)動画の中に、自分を見守ってくれている先生がいる。 こんな動画なら、多くの先生方も出来るのではないでしょうか。特別なことをするのではなく、普段通りの授業を録画する。勿論それをアップするときは、多少得意な人の手を借りなければならないでしょうが。顔が見えない、声も聞いたことのない人の動画より、自分たちのための動画という意識が高まるのではないでしょうか。「子どもたちとつながる」ことを意識すると、こんな動画配信を私は創造します。 そんな動画の中に、もうひと味を加えるとすると ・ 板書の文字は大きく、やや太く ・ 明るい笑顔と笑いのある動画 ・ STOPカードを入れた動画 動画だからこそできる、子どもたち一人一人のペースにあわせた授業 普段の授業では、問題を解く時間や考える時間が統一されます。 今の状況で行う動画を使った授業なら、 「それでは、この問題を考えてみてください」と動画の中の先生が、STOPマークを出す。子どもは、動画を止めてゆっくりと課題に取り組み、自分の考えが持てたら続きを再生する。 「この漢字の練習をして覚えましょう」と動画の中の先生が、STOPマークを出す。ある子どもは、2〜3回の練習で書けるようになり、次に進む。ある子どもは、10回練習して書けるようになり、次に進む。こんなこともできるのではないでしょうか。 紙のドリルで、10回書かせるような課題と比べてみてください。 普段通りの授業動画を流す。自分の知っている先生の姿が見える動画だからこそ、「子どもたちとつながる」のではないでしょうか。それが、学校のように思えるし、学力以上に大切なことのようにも思えます。 この事態における教職員四方山話 「学校百景でつながる」(和田)
学習の遅れをカバーするために、ドリル教材がたくさん売れているそうです。保護者としては、学習する手段がないと困るので当然の流れかと思います。ドリルや休校支援での動画配信等に加えて、各学校独自の学びを提供するためにHPを活用してはどうでしょうか。
小学校6年、中学3年間登校しますが、子どもたちは学校のほんの一部しか見ていません。教室、特別教室など、ひょっとしたら1年生の学校探検からあまり広がらないまま卒業していく子もいるかもしれません。学校には学べる教材が山ほどあります。 教科書には記載されていないけれど、この学校独自の教材をHPで紹介します。子どもたちが学校にあるものに興味・関心をもてるようになれば、各教科につながる学びになるのではないでしょうか。教科書から飛び出して興味・関心をもって主体的に学ぶチャンスでもあります。 HPには、紹介している先生の笑顔と一言感想を添えましょう。 「私の学校の先生」は特別です。先生の笑顔を楽しみにHPにアクセスする子が増えます。 こんなのはどうでしょうか。例を紹介します。 百景1 学校の草花編 桜は葉桜になってきています。つつじのつぼみがふくらみ、咲き始めています。 桜以外の木々も草花もたくさんあります。花の中にはおしべとめじべがあります。もっと詳しく観察するには理科室の顕微鏡を使います。 「次回は理科室訪問です。」と予告も付け加えます。 百景2 学校バックヤード編 屋上のタンクを見たことがありますか? あれは何なのでしょう。 学校では水も電気もガスも使っていますが、どれぐらい使っているのか知っていますか? 使った料金はどうやって払っているのでしょう。 家庭にはメーターがありますね。学校にもメーターがあるのです。メーターの単位については算数や理科の先生、家庭のメーターとの比較は家庭科の先生が話します。家庭のメーターや、支払明細を見てみましょう。 百景3 門、銅像編 学校には正門近くに二宮尊徳、花壇近くには○○の銅像があります。また、正門、南門など全部で5つの門が学校にはあります。実は正門は移動したのです。昭和時代の学校の写真と比べてみてください(航空写真を添付) 国語の先生の「二宮尊徳」の話につづく 社会の先生の「この学校の歴史」の話につづく 看板編(学校内設置のいろいろな看板)、音楽室編(さまざまな楽器紹介)、体育館編(さまざまなラインの意味)、廊下編(一番長い廊下は○○mなど)、母校の様々な景色に関心をもってもらう機会にしましょう。 この事態における教員ICT研修四方山話Part1<和敏>
新型コロナウイルス感染拡大防止対策で、各学校は臨時休校中です。国は、緊急事態宣言をさらに1か月程度延長しようとする動きがみられます。大変な日々はまだまだ続きそうです。
また、この事態に、9月入学やオンライン授業の話題をよく耳にするようになってきました。先生方も、どうするとよいか模索しているところではないかと思います。 そんなとき、学校でこんな取組・研修を行ったらという、四方山話を書いてみたいと思います。 ★ 習うより慣れよ オンライン授業が様々なシステムを使って行われています。今まで、学校現場になかったものを急遽導入していくことは、かなりの先生方にとってハードルが高いと思います。そんなとき、こんなことを行った学校があるようです。「習うより慣れよ」というスローガンのもと、テレビ会議システムを自分たちの業務で使ってみようということになったそうです。主催者の立場や参加者の立場を体験していくことで、メリットもデメリットもみえてくるということです。そして、メリットは活かし、デメリットを意識しながらオンライン授業へと発展させていこうということです。この話から、ちょうど先生方も在宅勤務が始まったころなので、オンライン授業の研修を行う前に、テレビ会議システムを使った職員会議など行うのもいいのではないかと思いました。その中で、学年部会のようにグループセッションを入れてみるとか、学校独自の会議の進め方をオンラインで行っていくとか工夫をすることで、授業への活用がみえてくると思いました。勿論、使用するシステムは、今後オンライン授業で活用しようとしているものです。こんな学校は、先生方の授業力を活かしたオンライン授業が、日常的に発信されていくことだろうと期待がふくらみます。 「習うより慣れよ」確かに、必要感があった方が、ただ教えられるより身につくことが多いですね。 ★ GIGAスクール構想実現を見据えて この時期だからこそ、研修の中に文部科学省の「GIGAスクール構想の実現に向けた1人1台端末整備 基本モデル例」を体験してはどうでしょうか。 基本モデル例には 例1 MicrosoftのTeams 例2 GoogleのG Suite for Education 例3 Appleの教育用App が紹介されています。 ※文部科学省 事務連絡 令和2年1月28日 令和元年度補正予算案「GIGA スクール構想の実現」に関する説明資料(情報提供) これらは、今のような状態でも活用できるものがあると思います。 ぜひ、挑戦してみてほしいと思います。 ピンチをチャンスに変えるには、チャレンジが必要だと思います。 この事態における学校でのICT活用四方山話 Stage1<神戸>
新型コロナウイルス感染拡大防止のために、多くの方がご努力されていることに敬意を表します。長年、学校現場でお世話になってきましたので、こんな時だから、何か力になれればと思いパソコンに向かいました。
2020年2月27日午後6時過ぎ、安倍晋三首相から3月2日から春休みまで臨時休校の要請が表明され、各学校は臨時休校に入りました。しかし、春休みまでで解除されることはなく、現在5月末まで臨時休校を決定している市町村が数多くある現状が続いています。子どもたちは3か月近く登校することなく、生活をしているのが現実です。 そんな中最近、「遠隔授業」「テレビ会議システム」「テレワーク」など、ICT機器を活用した授業や働き方を耳にします。文部科学省は、新型コロナウイルス感染対策に関する通知文や連絡文を出し、その中に「ICTの積極的活用」を書いています。 今、ICTを活用して、学校で何ができるのか。何をやるとよいのかを語ってみたいと思います。あくまでも、個人の意見ですが。 Stage1 子どもたちとのつながりを 子どもたちの学びを保障するのは、とても重要なことです。この重要な学びは、先生や友だちとふれあい、つながることからうまれるのではないでしょうか。自分一人で、学びを築き上げられる子どもは、そんなに多くないと思います。 4月から、担任の先生とどれだけ会話をしたでしょうか。大好きなあの教科の先生の授業に、どれだけ参加したでしょうか。ほとんどゼロ時間です。まずは、子どもたちとつながれる手立てを考えていく必要があると思います。可能なら毎日、「先生たちは、あなたを見守っています。」と感じられるような取組ができると、子どもたちはどれだけ安心できることでしょうか。学校が再開されたときに、自分の居場所があるという安心感を、今作ってあげることが第一のように思います。電話を各家庭にかけるのもいいと思いますが、先生方も在宅勤務をはじめています。40名近い家庭に電話をすることは、大変な仕事になります。保護者にとっても、いつかかってくるか分からない電話を待つのは、辛いことでしょう。 学校のホームページ作成機能を使って、子どもの健康観察を毎日行い、子どもたちとのつながりを築いている学校があります。ホームページ作成機能の一部にある外部アンケート機能を使って、子どもたちの体温・学習時間・今日の気持ち(心の天気)・先生と相談したいことなどを毎日学校へ送信するのです。先生はそれを見て、子どもたちの状況を把握し、時に電話やメールで話をしたり相談を聞いたりすることが可能になるのです。これが、子どもたちとつながる第一歩になると思います。毎日行うことで、子どもたちの家庭生活習慣のリズムの確立にもつながります。これだけで、子どもたちとつながるとは思いませんが、入り口にはなると思います。 どうですか、やってみませんか。子どもたちの顔が見えてくると思います。 無償提供中 「心の天気」に関わってわずか1週間で(玉置)*** 心の天気の研究に携わらせていただいてから、1週間が過ぎました。 晴れ、晴れ、晴れと連日、晴れが続いていた私ですが、とうとう雷になりました。私は勝手に雷はイライラしたときの気持ちやどうにも言葉にできない気持ちを表すものだと解釈しています。 昨日の夜遅く、雷になってしまいました。自分の情けなさや、周りに対しての不満。それらが雷の原因となりました。自分で頑張っていると思っていた事を心ない言葉で否定されると、もう、何というか、言葉にできなくて。雷雨になりました。 頑張りは他人からは見えづらく、そして伝わりにくいです。また、自分が頑張っていると思っていても、人にはそれぞれキャパというものがあり、どうしても人は自分のキャパで人の頑張りを測ってしまいます。 自分でもそれは重々承知です。自分も必ずキャパで人を測る一面を持っています。だから、日頃、私はなるべくその人のキャパでその人を見ることができるようによーくその人を見て、支えたり、支えられたらしてきたつもりです。 でも、それが、なかなか上手くいきません。決して自分はできる人ではありません。だからこそ、周りと一緒に頑張りたいのに。 志賀内泰弘さんの本にあった「気張る」それを私はまだできていないのでしょうか。あの言葉を見てからそれができるように心がけてきたのに、とてもとても難しいですね。 心の天気はとても良い仕組みだとこの1週間感じました。心の言葉にならない気持ちを吐き出すことのできる小さな避難場所です。この避難場所があることがどれだけいいことか。言葉にできない黒く重い気持ちはその人の心にずっと靄のように居続けます。その靄は自分一人の力では吐き出せません。そんな時にこの心の天気は大活躍すると感じています。 晴れになれるよう、美味しいものを食べたり、友達と話したりします! |
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