『木洩れ日に泳ぐ魚』(今井)

 こんにちは。「本よ、血となり肉となれ。」のコーナーです。私が最近読んだ本の感想をお話したいと思います。ラジオっぽく、コーナーの名前をつけてみました。結構良い名前をつけられた気がします。お気に入りです。

 『木洩れ日に泳ぐ魚』は、恩田陸さんの作品で、1組の男女の最後の夜が描かれています。

 物語が男と女、それぞれの目線で進行していく点がこの本の魅力であると私は思います。男の目線で時間がある程度進み、それと同じ時間が女の目線からもう一度描かれるのです。これによって、人間と人間の微妙なズレやすれ違いを感じることができます。読者である私たちは、男が女をどう見ているのか、反対に女が男をどう見ているのかの両者の目線が分かり、自分で2人のズレやすれ違いを感じることができるのです。

 この本に出てくるズレは、感じていても、普段言葉にすることってないよな、というくらい些細なズレなのです。でも、自分たちの今後の行動や態度には大きく影響することで、これによって事件が起きたり、起きなかったりするような、そんなズレを感じながら、読み進めていけます。

 私なりに例を挙げるとこんな感じです。

 今日は、何をするにもやる気が起きない。この部屋から出て、外の風に当たって、気分転換をしよう。
 「今日の夜ご飯は、外に食べに行こうよ。」
 「今日は、家でゆっくり食べよう。僕が作るよ。」
 「ありがとう。」

 彼女は、とても疲れている様子。外に出るより、家でゆっくりした方がいいだろう。今日は、いつもの感謝を込めて、僕が夜ご飯を作ろう。

 2人のズレを感じていただけましたか?ネタバレしないようにしないようにと思いながら、記事を書いていたので、とてもまわりくどい文章になってしまったかもしれません。『木洩れ日に泳ぐ魚』は、私の好きな雰囲気の本でした。恩田さんは、なぜこの本のタイトルをつけたのか、気になりますね〜。(今井)
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