【読後感想】 追究の鬼を育てる(芝田)

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 こんにちは。8期生の芝田彬良です。冬休みの期間で有田和正先生の「追究の鬼を育てる」を読み、学びえたことを記録として記事にすることになりました。

 「材料七分に腕三分」という有田先生の格言を一度、講義で聞いたことがあります。2年間の講義の中で最も心に残っている言葉のひとつです。そのため、玉置先生に多くの本の中から最初に読むべき教育書としてこの本を勧めて頂き少し縁を感じました。これから、本から学び得たことの中で特に考えを深めたいと思った章について述べていきたいと思います。

 私がこれから述べていく章は、有名なイソップ童話の「北風と太陽」を子供と教師の関係に当てはめた話から始まります。

 私自身の小中学生時代にも当てはまることですが、勉強をするのが苦痛だと感じる子供は多いです。筆者はその背景には「勉強がしたくない、勉強は面白くない。」というマントを羽織った旅人(子供)のマントを何とかして脱がそうとする教師が強い北風を送ってしまっていることに原因があると述べています。

 北風とは面白くない授業。言い換えると、子供が完全に受け身の授業のことです。教師が懸命に強い北風を送れば送るほど、子供はどんどん勉強に対しての苦手意識が強くなっていきます。そのため教師が北風を太陽へと変換し、面白い授業を行っていくことが、子供の勉強に対しての苦手意識(マント)を取り除き、より良い方向へと導くことになると述べています。

 面白い授業とは従来の未知(知らない)を既知(そうなんだ、納得)へと変える授業ではなく、既知(よく知っている)と思っていたことが実はまだまだ未知(本質的にな何も分かっていなかったのか)ということに気づき、新たな疑問がうまれ、それを追求してという終わりのない授業です。これらの授業を行うためには、まず様々なことに疑問を抱くことから始まります。

 子供が第一段階の疑問を感じる力、そしてその疑問を解決する力、解決の過程の中でさらなる疑問を持つ力を育てていくために教師側は多くの工夫をすることが非常に重要です。なんでもない日常生活の中での会話や、宿題の内容などの様々な場面で知的好奇心や知的欲求を刺激する力を育てていくための仕掛けが必要になると感じました。

 しかし、一方で教師が色々な用意をしすぎてしまうこと、与えすぎてしまうことは大変危険な状態であるとも言えます。筆者は南極の魚を例にして話しているのですが、良い環境を整えすぎてしまうこと(過剰に与えすぎてしまうこと)は子供の能力や意欲にマイナスな作用を及ぼしてしまうことに繋がります。

 良い環境を整えつつ子供の自主性を伸ばす必要があるのでバランスが非常に難しいと感じました。これらのためには、ひとつの授業だけでなく長期的な計画で子供の資質や能力を伸ばすことが必要になると考えました。教材の作成や引き出す発問など様々な視点で学びを深め、授業の完成度を高めていくことと、多くの経験を積んで子供の実情について、より深く学んでいくことでより良い子供に合ったバランスを見つけることができるのではないかと思います。

 今回読んだ「追究の鬼を育てる」ではさらに、生徒同士での戦争(論争)についての話や、間違えることは面白いことであるという話、追求することをみにつけるプロセスなど多くの非常に興味深い話があり、どれもこの記事に書き記したいものばかりですが、収拾がつかなくなりそうなので。(笑)

 初めて教育書を読み進めていく中で、正直に言うとただただ納得するばかりで反対意見が浮かんだり、批判的に考えを深めること、自身の考えが深まりを感じたりすることは、あまり実感できませんでした。今後、多くの教育書に触れ、異なる意見を知り、比較を繰り返すことでより教育についての理解が深まるのではないかと考えています。今回の学びが玉置ゼミでの記念すべき第一歩になったのではないかと感じています。(芝田)

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