拙著から紹介【わかる!楽しい! 中学校数学授業のネタ100】(明治図書・学年別)

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  今回は、「わかる!楽しい! 中学校数学授業のネタ100」(明治図書・学年別)から、「はじめに」を紹介します。この本、9刷目のロングセラーになっています。

はじめに

 私は、常々、授業に向かう教師に対して、「ABCDの原則を守りなさい」と言っています。もともと「ABCDの原則」は、生徒に学校生活の基本として伝えていることです。
 A=当たり前のことを
 B=バカにしないで
 C=ちゃんとやれる人こそ
 D=できる人
 授業に向かう教師も、この「ABCDの原則」を守るべきだと思っています。
 A=当たり前のことを
 B=バカにしないで
 C=ちゃんと
 D=できる教師であれ
 特に若い教師には、厳しい口調で伝えています。

 数学教師としての「A=当たり前のこと」は、しっかりとした指導言(発問・助言・説明・指示)を発することができることです。とりわけ、数学的に豊かで深みがある説明がきちんとできることが、最重要だと考えています。

 では、なぜ「説明」なのでしょうか。それは「発問・助言・指示」がない授業は存在しても、「説明」がない授業は存在しないからです。ところが「発問研究」はよく耳にしますが、「説明研究」は聞いたことがありません。そのため「発問」の方が重要と考えがちになりますが、授業の土台を作っているのは「説明」なのです。数学教師らしい、論理的で説得力がある「説明」であり、生徒の興味・関心を高め、数学の世界にいざなうことができる「説明」なのです。

 こうした「説明」は、自分はどこで学んできたのかと振り返ってみました。まさに教科書や指導書の行間を埋めるような「説明」は、諸先輩方から、折々に学んできたことに気づきました。ベテラン教師の口伝で身に付けたと言っても過言ではありません。自分の教師生活を冷静に振り返り、自分が受け継いできた事柄を伝えようとしていない己を反省したのです。

 このような思いがあり、本書の構成は、単元ごとの「説明ネタ」「課題ネタ」「習得ネタ」「教具ネタ」を柱として、100のネタを紹介しました。ベテラン教師が自信を持ってお勧めできる授業ネタを「説明」「課題」「習得」「教具」の4観点から整理し、若い数学教師に伝えたいという思いを込めて書いたものです。
 
 どのネタも、単なる紹介ではなく、どのように説明して提示するのか、何に留意して説明するのか、生徒の発言をどう受け止め、どうまとめたらよいかという説明なども加えています。特に「説明ネタ」という項目がある書籍は、他にないと自負しています。まさにベテラン数学教師の口伝書なのです。本書は、明日からの授業にすぐに役立ち、また数学教師としてより力量を高めるための指南書としても愛読していただけるものと思っております。

 発刊にあたっては、明治図書の矢口郁雄さんから、実に的を射たご助言をいただきました。細部にわたって神経の行き届いた編集もしていただき、おかげさまで、とても親しみやすく、活用しやすい書籍となりました。あらためて感謝を申し上げます。

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