最新更新日:2024/04/22
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早春の自然散歩(小柄沢緑地)

 3月9日、啓蟄から4日目になります。小柄沢緑地を昼散歩しました。出迎えてくれたのは黄色い満開パンジーでした。やはり黄色はいいですね。緑地の真ん中を流れるせせらぎの音を聞きながら階段を下りると、水辺はオランダガラシ、セリ、タネツケバナ、ヨモギ、ギシギシであふれていました。石垣側ですぐ目についたのは、カラスノエンドウでした。花はまだですが、つるを四方八方に延ばしています。蕾の根元に真っ黒い粒々集団がたかっています。花の蜜を食べに集まってきた連中、アブラムシの仲間です。アブラムシの天敵であるテントウムシの幼虫が出現するまでの間は、彼女たちの天国です。そう、彼女たちは全部雌です。どの蕾を観ても、占拠されています。アブラムシは無性生殖で増えますから、1匹が2匹、2匹が4匹といった具合に増えます。体が透明な種類のアブラムシでは、親アブラムシの中に子アブラムシを見つけることができます。繁殖にかけてはすごい連中です。雄はと言えば、もっと暖かくなってきてから登場してきます。何の役にも立たない雄ではありますが、唯一の違いは羽の有無、飛べるのです。ですが、飛んでどうするんでしょう。アブラムシの世界では、雄は全くその存在意味がないのでしょうか。
 緑地の真ん中あたりに、大きな切り株がありました。切断面の穴を覗くと栗発見!昨秋からの忘れ物です。クジラタケとカワラタケがあちこちに生えています。もう、この切り株の中は、2種類のキノコの菌糸だらけです。
 湧水のある「せせらぎ公園」と違って、ここは水量が豊富です。湧水ではなく、深良用水からの引き水でしょうか。小魚も潜んでいそうです。
 大きな藤棚がありました。手入れが行き届いています。まだ芽は固く閉ざされていますが、花の時期はさぞかし見事でしょう。満開の藤棚の下でお弁当が食べたい!
 あれ、まん丸のドングリ発見です。殻斗もあちこちに落ちています。クヌギが植栽されているのですね。見渡すと、クヌギの大木が何本もあります。秋のドングリ拾いはここで決まりです。
 せせらぎの音に混じって、セキレイの声がしました。2匹います。1匹は「ハクセキレイ」もう1匹は「キセキレイ」、長い尾を上下に振りながら川石伝いに仲良く移動していきました。どうやら勘違いしている様子、野鳥たちにとってはこの時期がペアリングの季節です。
 ソメイヨシノが一輪だけ花をつけていました。どの世界にもおっちょこちょいはいるものです。たった一輪の花に誘われたのか、メジロが数羽ソメイヨシノの枝を行き来していました。足下に落ちていた細い枝を拾うと、アブラゼミの産卵痕がついていました。孵化した幼虫たちは、ちゃんと地下の樹の根に吸い付いているのでしょうか。余計な心配をしていたら風が出てきました。寒風です。今日の昼散歩はこれでお終いです。
 東風恋し 忘れ去られた 栗一つ     文責:小泉隆嗣
  
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早春の自然散歩(中央公園)

 2月27日、裾野西中学校に隣接する中央公園を訪ねました。ここは、五竜の滝で有名ですが、旧植松家(鎌倉時代からの旧家)住宅(茅葺き)も移築され、吊り橋あり売店あり遊具あり、コウライキジまで飼育され、ウメ、サクラの植樹はもちろん、大きな球状の堅果(ドングリ)をつけるクヌギをはじめ、たくさんの樹種の樹木が植栽されています。西中学校側には「ナギ」の大木(私は初めて見ました)がどっしりと構えていました。地面は掃き掃除が行き届いており、落ち葉が2カ所の落ち葉溜に積まれていました。カブトムシの幼虫が過ごすには最適の環境です。掘り返したくなりましたが、ぐっと堪えて6月の羽化を待つことにします。
 五竜の滝は相変わらず流れ激しく、黄瀬川の主は俺だと言わんばかりに爆音を轟かせています。吊り橋から望めば、滝の向こうに富士山があったらもっと最高などと、余計な願望を抱いてしまいました。それにしても、この滝壺の中にはどれ位大きな魚(たぶんニジマスかアマゴ)が潜んでいるのでしょうか。遊泳禁止の張り紙が恨めしくて仕方がありません。
 滝壺の下流は穏やかなせせらぎです。春まだ浅いせいか、流れの緩やかな水面下に小魚の姿はまだ見つけられませんでした。その代わり、南斜面には蒲公英の黄色が目立っていました。集合花を下から覗くと、総包片が反っくり返っていません。「おお、これはトウカイタンポポだ」と、嬉しくなりました。私の家の近所では、タンポポと言えば外来種の「セイヨウタンポポ」のこと、在来種の「トウカイタンポポ」は皆無です。セイヨウタンポポは、もともとは食用として移入された「野菜」でした。今ではすっかり都市部のタンポポの地位を不動のものにしています。ところが、この斜面に咲いていたタンポポは全てトウカイタンポポでした。不思議です。何故か「セイヨウ入り込むなよ!」「トウカイ負けるな!」と、咲いている蒲公英にエールを送ってしまいました。
 五竜の滝の流れから少し離れると、野鳥の声が聞こえてきました。春先に聞き覚えのある「イカル」の声です。イカルの大好物は「サクランボの種の中味」です。独特の曲がった嘴と顎の力で、「プチッ、プチッ」と種を割る音を立てながら食べます。まだ、サクラの蕾も堅いというのに、待ちきれずに来てしまったのでしょう。ところが、これが厄介者に変身するのです。案の定、少し遠くのサクラの木の枝先には数羽のイカルが花芽をついばんでいます。まだ数羽ですからいいようなもの。数十羽の大群に襲われたサクラは悲惨なものです。
 キツツキが樹をつつく音が聞こえてきました。音の大きさから「コゲラ」でしょう。日本で一番小型のキツツキです。冬期は、シジュウカラなどの「カラ類」と一緒に混群を作って集団で移動します。今日は数羽のコゲラだけ、既に雄雌のペアーが出来上がっている感じでした。シジュウカラやコガラもその姿を見せました。シジュウカラの黒くて長いネクタイは目立ちます。コガラのちょび髭ネクタイも肉眼でわかります。せっかくのいい雰囲気を台無しにしたのが「ガアー!」の一声でした。このしわがれ声の主は「ハシボソガラス」です。美しく「カアー カアー」と鳴くのは「ハシブトガラス」の方、遊び疲れて一緒に帰るのはこちらです。        外来に 負けるなトウカイ ここにあり       文責:小泉隆嗣
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早春の自然散歩(せせらぎ公園)

 2月10日、地域自然素材の教材化を進めるために、職場の隣にある「せせらぎ公園」を訪ねました。昼休みを使っての短時間の散歩ですが、暖かさに誘われてか、お母さんと子どもたちの歓声が聞こえてきます。そこへ、カメラ片手の背広姿おじさんの登場ですから、怪訝な視線を感じてしまいました。そんな視線には慣れっこですから、私は何とも気にしませんが、視線を送った側のお母さん方はやや緊張気味に私の行動を覗っています。中には、急いで自分の子どもを自分の近くに呼び寄せるお母さんもいて、これには少々参りました。こんな「安全なおじさん」はいないのにです。
 さて、暦の上ではすでに立春を過ぎていますから「春」なのですが、こう何回も厳しい寒波が続くと、春はまだまだ先に感じてしまいます。ところがどっこい、公園にはいち早く春の到来を感じた生き物たちが、たくさん動き始めていました。啓蟄(二十四節気の一つで、おおよそ3月6日頃)にはまだ間がありますが、動き始めた生き物たちの姿をお届けします。この時期の、暖かい日の公園散歩はお勧めですよ。
 小鳥の鳴き声が聞こえてきます。メジロ、アオジ、ホオジロ、ウグイス。一番多いのはアオジでした。アオジは、愛鷹山麓や箱根山麓の照葉樹林を好みます。ですが、寒い冬季には、標高の低い所まで下りてきます。市街地の公園のブッシュでも普通に見つけることができます。割と数羽の集団でいることが多いので、金属的な強い「チッ」という地鳴きが次々に聞こえ、あっという間に移動していきます。急に近づくと、ブッシュの中でじっとして全く動きませんし鳴きません。まるで忍者のように、雲隠れの術が得意技です。
 桜が何本か植えられていたので、じっくり探すとありました。たった1輪ですが、サクラが咲いていました。花壇の水仙は満開です。梅の花は3分咲き、春はまだまだのようです。
 地面に目を落とすと、タチツボスミレが咲いていました。ずいぶんと気の早いやつです。ホトケノザはいい感じで赤色を放っていました。「セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロこれぞ七草」に歌われている「ホトケノザ」ではありません。歌中のホトケノザは、和名「コオニタビラコ」のこと(諸説あります)、赤い花のホトケノザは、有毒植物ですので気をつけてください。当然、七草がゆには入れません。コオニタビラコを刻んで入れます。
 悲しいことに、やはり「せせらぎ公園」でも、飼い犬の糞、捨てたばこ、捨て空き缶が目立ちました。いったい日本の大人たちはどうなっちゃっているんでしょうか。残念です。 
 せせらぎ公園の中心には湧水があります。こんなに寒いのに、光り輝く湧水の底には、水中植物や藻類が緑色に輝いていました。温かい湧水だからでしょうか、下流にはタネツケバナがもう花を咲かせていました。
 栗の木が2本あります。東端の栗の木の下は、昨年の栗のイガでいっぱいでした。薄くて食用にしないで捨て置かれた栗の実も落ちています。「残されて 一人寂しい 春の昼」   文責:学びの森 小泉隆嗣
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真冬の自然散歩(偕楽園)

 1月31日、地域自然素材の教材化を進めるために、偕楽園を訪ねました。冬真っ直中とはいえ、前日からの暖かな陽気に誘われてか、サクラも3輪ほどすでに咲いていました。梅は8分咲きで、見頃を迎えています。ツバキも蕾を膨らめていました。樹木の新芽はまだまだ固く閉ざしたままでしたが、すでに色づき始め、春をじっと待っています。芝生の広場の隅には、可愛らしい花がたくさん咲いています。いろいろな植物のロゼットも、芝生広場や公園斜面のあちこちで葉をいっぱいに広げて地面に張り付きながら陽光を浴びていました。不動の滝の轟音を外して耳を澄ませば、ツグミやジョウビタキなどの冬鳥たちの地鳴きとともに、メジロやヒヨドリといった、ウメやサクラの蜜目当ての野鳥たちのさえずりも聞こえてきました。水辺では、タネツケバナやフキが葉を大きくし始めています。昨秋のクヌギのドングリもたくさん落ちています。コナラの樹皮には、明らかに樹液を流した跡があり、今年の夏にはクワガタやカブトムシがたくさん集まってくることでしょう。斜面に落ちている小枝には、セミの産卵跡も残っていました。すでに孵化したセミの幼虫たちは、きっと今頃、樹木の根からおいしい養分をいただいていることでしょう。湿った枯れ枝には、キクラゲも見つかりました。シュロの樹があったので、葉を一枚拝借して、バッタを作ってみました。いかがでしょうか。生きているバッタに見えたら嬉しい限りです。誰が見つけてくれるのか楽しみです。こんな楽しい偕楽園は、遠足やお遊びにもってこいです。近くの小学校の生活科や、幼稚園や保育園のミニ遠足の場所としては、最高です。
 唯一残念だったのは、捨て置かれた飼い犬の糞でした。あちこちにまとめてたくさん落ちています。せっかくの芝生広場も、子どもたちが元気いっぱい飛び回るには、ちょっと注意が必要です。シートを広げてお弁当という気には、残念ながらなれませんでした。飼い主のマナーの悪さには困ったものです。遊ぶときには、まずはイヌの糞集めから始めましょう。ドッグフードばかり食べている犬の糞は、よく見ると中身が細かく均一です。残飯を与えている犬だと、粒の大きさもまちまちで、硬い固形物も混じっています。これだって、大事な自然観察です。衛生面に注意しながら、楽しく糞片付けをしましょう。ちょっとした工夫さえすれば、何だって「学び」になるのですから。
                 文責:学びの森 小泉隆嗣指導員
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行事予定
4/6 入学式、1学期始業式(小・中)

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