佐藤暁先生「発達障害のある子の困り感に寄り添う教育支援」を読んで(渡部)

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9月3日の教師力アップセミナーの講師の先生である佐藤暁先生の文章を読ませていただきました。本を借りることができなかったため、インターネットに載っていた佐藤先生の論文を読ませていただきました。

佐藤先生は保育園・幼稚園や小中学校の「現場」は病院や教育相談室といったクリニックのような場面で支援を行うのとは根本的に異なる点があるとおっしゃっています。その一つが周りの子どもとともに育てるということです。

佐藤先生は教師の支援を求めている子どもたちを「支援が必要な子ども」あるいは「『困り感』のある子ども」と表現しています。困っているのはなにも発達障害のある子どもたちだけではない、他に困っている子どもはたくさんいるのだから、その子たちも含めて教育支援を進めていくことが「現場」での仕事だとおっしゃっています。

特別支援教育と聞くと一番に思い浮かぶ言葉が「個別」という言葉です。佐藤先生の文章を読んで、個別支援は大切だが、集団作りということに目を向けることも大切だと分かりました。

佐藤先生は教育支援の方向性を示す際に「困り感・安心感・イケテル感」という言葉を使っています。その中でも私は学級づくりでもよく聞く言葉である「安心感」に注目しました。

安心感には三要件があります。
「見通しと向かう先」、「できた・わかった体験」、「民主的な人間関係」です。

「見通しと向かう先」ではスケジュールについて触れられています。
スケジュールは子どもにとってあったら便利、子どもに必要、あるいは、それがあるから安心だから作るそうです。「見通し」は今からどんなことが予定されているかという情報で「向かう先」とは楽しいことに向けて頑張るといったそこに向かっていく何かだそうです。「向かう先」について分かりやすい例えが載せられていました。

サッカーが好きなのだったら「仕事が終わったらスタジアムにいく」というように楽しみに向けて一日を乗り切る。また、週の初めに「ああ、一週間が始まったな」と思っていても、木曜日くらいになって休みが近づくと元気になるというのも「向かう先」があるということです。とても共感できますよね。

スケジュールで伝えたいことは「楽しみ」だそうです。スケジュールを見て「今日はこんな楽しいことがあるな」、「あれが楽しみだから学校に行こう」と子どもが思えることが大切です。
私も教員になったら子どもたちが楽しみにするような授業や毎日の朝の会の話などできるようにしたいと思いました。

「できた・わかった体験」で大切なことは「何を身につけさせるか」ということを考えることです。小さなことを一つ一つやっていくめにも教師が子どもに「何をさせるか」と支援のターゲットをしっかりともつことが大切だそうです。

「民主的な人間関係」では行事などにおける社会的な行動を形成するために効果的な当日のシナリオ作り、リハーサルについて書かれていました。例えば高機能自閉症の子どもが山の学校に出かける際には事前に保護者と先生が下見に出かけ、資料を集めてシナリオカードを作ります。それをもとに「これは○○する時間で、みんなはこんなことをするから、あなたはこうしたらいいよ」と行く前にシナリオカードを見ながらリハーサルをするそうです。

私はサークルで参加した発達支援センターの遠足を思い出しました。そのときも出発する前に先生が写真を見せながら「今日は△△へ行きます。今からバスに乗ります。着いたらトイレに行きます。」というように子どもたちに話をしていました。その結果子どもたちもセンターを出るときには「今からバス乗る!」と自分で理解し、行動することができていました。

リハーサルを行うことで自分のすべきことが分かり、みんなと一緒に行動することが可能になるということが分かりました。

特別支援教育と聞くと「特別」、「個別」というイメージを抱いていましたが、そうではなくてどの子にも必要であって個別支援だけでなく、集団という視点も大切にすることが必要だと分かりました。

「特別支援教育」という言葉をよく耳にします。私に出来ることは何かという視点をもってセミナーでは佐藤先生のお話をお聞きしたいと思います。(渡部)

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