弥富中学校道徳飛び込み授業を参観して(寺坂)

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6月6日に、弥富市立弥冨中学校で行われた玉置先生による飛び込み授業を見させていただいた。教科は道徳だった。教採前ではあるが、私は中学校実習で「考え・議論する」道徳の展開の仕方が全然わからなかったので、その答えを探すという目的で参加した。

先生の飛び込み授業を見させていただくのは2度目だが、初めて会う子供との関係の作り方がすごい。実習で、うまく関係を作れずくよくよしていた自分はなんだったのか。自分の力量を痛感した。当たり前だが…先生は、授業をするうえでの子供理解と、子供の教師理解がスムーズに行っていた。また、表情発言の説明もしていて、楽しく話をするという裏にしっかりと布石が打たれていた。
 題材は、「あるレジ打ちの女性」というものだった。なにをやっても続かない女性が、子供のころの日記を見て、レジ打ちの仕事に対して真剣に向き合うと言う話である。

登場人物を確認するだけの導入を終え、先生の朗読から始まる。多くのことを学び感じたので、箇条書きになるが羅列していく。

1.子供に読み物を持たせない。
→これは、道徳を国語にしないためである。手元に資料があると、考える場面でどうしても文を追ってしまう。文の中に答えを探すのではなく、心の中に答えを探すことが大切。また、手元にないことで、想像力も鍛えることができる。

2.読み物は全部読まない。必要に応じて、取捨選択を。
→子供に考えさせたいことに、より持っていきやすくするための工夫。授業後いただいた台本には、イラストを黒板に貼るタイミングや強く読むとこ・弱く読むところなど詳細に記載されていた。私の観察メモには、「役者だなー」と書いてあった。

3.読んでいる最中には子供の集中を切らさない工夫を。
→ずっとインプットの時間は、大人でもしんどい。今回の授業だと、女性がレジ打ちの仕事が続くかどうかを、考えさせていた。自分の意見を持つことで、最後まで興味をもって聞くことができる。

4.発問1 日記を見付けて、彼女はどんな気持ちになった?
→日記には、ピアニストになりたかった過去が書いてあったが、子供の意見もそこからで、昔のように頑張るや、自分が情けないといった意見が多かった。ちなみにこの発問の時に、先生はオープンカンニングをしている。ちょうど私は、反対側にいたので先生の声を聴いて、目の前の子供がどうするのかを見ていたが、自分の言葉に変えてしっかり書いている姿を見ることができた。

5.子供の本音を聞き出す。モノ分かりの悪い教師に。
→オープンカンニング→全体発表という流れの中で、先生は受容を繰り返していた「これに気付いたか」「いいなー。なるほどなー。」子供は、とてもいい雰囲気を感じていたと思う。と、同時に「外から来た先生だけどいつも通り、いいこと言っておけばいいんだ」なんて思った生徒もいたかもしれない。しかし、次の先生の一言で教室の空気が一変した。

「本当に日記見ただけで変われるか?」

この後の子供は、ほんとに泣きそうで困っていた。本音を言ってもいいのか?という葛藤もあったかもしれない。しかし、答えのない一つの問題に対して、深く考えさせるということは、子供のうちに経験させ慣れておくべきである。
また、モノ分かりの悪い教師は、演技がうまくない先生がやると、答えを知っている感じが子供の伝わってしまう、と言われたことがあるが、先生は「俺は本当に分からないんだ。一緒に考えよう」という雰囲気が伝わってくる。だからこそ、本音が言いやすくなったのかもしれない。まさに役者だと感じた。

6.子供をうまく使う
→これが、私の課題の答えだった。深めの発問から、どのようにまとめていくのか考えていると、先生はある生徒にこう言った。「〇〇君が、納得したら今日の授業終わり。納得できなければ終わらない。」その子は、最初に「日記を見ただけで変われるかな?」とつぶやいた生徒だった。教師に説明するよりも、子供同士で説明し合った方がいいと思う。それは、教師は答えを握っているが子供は持っていないからである。先生がまとめていかなければいけない場面もあるが、子供を使うことで全員が降りることのできる着地点をつくることができるのだと分かった。

 セミナーの記事などは、学ぶことが多くてどうしても文章量が多くなってしまうが、もし最後まで読んでいただいた方がいたら、心からお礼を言いたい。ありがとうございます。この学びをもって、もう一度実習に行き道徳をやりたい。(寺坂)

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