7月24日第15回3期生ゼミ記録(松田)

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こんにちは。3期生の松田です。


早いもので、私も最後の発表となりました。私は前回に引き続き中室牧子さんが書かれた『「学力」の経済学』という本を読んで学んだことを発表しました。


1つ目は「学力テストに一喜一憂しない」ということについてです。中室さんは学力テストというのは学校教育の成果を測るうえで意味のないものと述べていました。

その理由として「教育生産関数」という子どもの教育成果分析に最も標準的な分析枠組みが用いられます。この教育生産関数というのはインプット(親の収入や遺伝などの「家庭資源」と教員の数や質、授業時間やカリキュラムなどの「学校資源」)がどのくらいアウトプット(学力)に影響しているのかを明らかにするものを言います。これによると、学力を分析するためには家庭資源のことも含めて分析しなければならないということになるので、学力テストでは子どもの学力を正確に測ることができないとしていました。

では、家庭資源と学校資源というのはどのくらいの割合で学力に影響を及ぼすのかということについてですが、60%〜70%が家庭資源であるという結果がある実験により明らかになりました。学力テストでは県別の順位が毎年公表されています。そこで正答率が悪かった問題について自治体や教育委員会は学校の指導法や教材に原因があると見がちであるが、順位に影響されるだけではなく、家庭資源と学校資源の関係を明らかにして、何に重点を置けば子どもの学力が上がるのかを示すことが大事であると述べていました。


2つ目は「いい先生とはどんな先生か」についてです。中室さんが思ういい先生とは、「ある子どもを他の子どもや集団と比較するのではなく、過去のその子自身と比較して昨日より今日、今日より明日と伸ばしてやれる先生」だそうです。このような先生を本では「質の高い教師」と呼んでいました。そして質の高い教師を見極めるものとして「付加価値」というものがあります。これは、例えばある子どもが前回のテストで35点だったのが次のテストで55点だったということがあったとします。この差である20点のことを付加価値と言います。この付加価値と教員の質について因果関係があることが実験で明らかにされ、質の高い教師は子どもの成績を上げることができるとされました。そして、今後はこの質の高い教師を増やすための動きが出てくるかもしれないということでした。

この本を読んでみて、教育というものをいつもと違う視点から見ることができました。いつもは実際に現場で働いている方や、働いていた方の本を読むことが多かったのですが、今回は経済学という立場から教育を見ることができ、新しい見方をすることも大切であると感じました。


ゼミでは玉置先生や読んだ本、他の人の発表から子どもの見方や教師の働きかけ、授業技術を学びました。教育実習で生かすことのできるよう、ノートやみんなのプリントを見直したいと思います(松田)
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