10月22日 日本個性化教育学会に参加して(早川)

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こんにちは。3期生の早川です。
21日(一日目)に引き続き、22日(二日目)の分科会E「学習指導の在り方と、個に応じた指導の充実をめざして」での先生方の発表を聞き、感じたことを正直に書きます。二日目の分科会も一日目同様、先生方の研究の成果の発表から始まりました。3人の先生方それぞれの発表に対して書きます。

◯誰でもどこでもできる自由進度学習(竹内淑子先生)
発表の冒頭から、一斉授業に対して「児童の前でずっと先生が前に立って話すのは疲れる」「児童たちがなにか真剣に取り組んでいる姿をぼんやりと眺めるのが好き」「前で一斉授業をし続けるのに飽きました」などとなかなかインパクトのあることをおっしゃっていたので、第一印象的に受け入れることが出来ませんでした。しかし肝心の内容はというと、児童が興味関心を持つような学習環境を先生側が予め仕組んでおくことで、何から何まで先生が指示を出していかなくても児童は自ら学んでいくようになるということでした。たしかにその場面の児童の写真を見ると、児童はいきいきとした表情で、作業に取り組んでいました。自由進度と聞くと、進度が自由であるがゆえに児童がサボってしまい授業に取り組まなくなるのではないかと考えていましたが、そのような状況の中に人間の弱さがあることを知ることでさえもそのパッケージの中に含まれているそうで、聞けば聞くほど、中学生の頃に一度そのような学習をしてみたかったなという思いが募りました。


◯やってみようそう思ったときこそチャンス(竹内学先生)
竹内学先生の自由進度学習の導入として、体育と保健の分野の融合をなさっていました。体育館の隅に机を運び込みその中で保健の学習を進める生徒がいる一方で、マット運動の技の完成度を高めていくというものでした。1つの授業の中で、体育の実技と保健の二分やを同時進行するなど、当然僕の頭にはありませんでしたが、これも発表を聞けば聞くほど面白いものだなと感じました。何より面白いと思ったのは体育館の中にPC環境が整えられていて、いつでもマット運動の模範演技の映像が見られるということ。そして演技後10秒後にモニターに自分の演技が写り模範映像とどこが違うのか視覚的に自分自身で実感できる環境づくりがなされていたことです。生徒たちはその環境の中で自分で試行錯誤を繰り返し、チェックしてもらおうという自信が持てたものから先生に技を見せにいくようでした。一方でたいていの体育の授業というと、先生がマットの横にいて、「お前、今どこどこがこうなってるかあらこうしてみ」などと生徒にアドバイスをし、また生徒が列に並び直して練習を繰り返すというものだと思いますが、これでは結局自分の動作の何がどうなっているからうまくいかないのか第三者を通してでしか理解をしていないことになってしまっています。子どもたち自らが進んで学べる環境作りというものは、本当に子ども自身の学ぶ側の立場になれる先生でないとできないなと感じました。


◯個が生きるコミュニケーションタイム(小野三夫先生)
今日の発表された先生方の中で一番自分に落ちたのは小野先生の発表でした。どのような授業をしようにもまずはその土台が大事であること、つまり児童生徒にとって学級という場が安心できる場でなければならないということを熱弁されていました。そのような学級を作るには、まず児童生徒と先生が信頼し合える関係を作り上げることを挙げられていました。具体的な方法はと言うと、生活作文を書かせ、その朱書きに「受容」「共感」「賞賛」を欠かさないことだそうです。また、生活作文をスラスラと書くことのできる子ほど自己肯定感が高い子だともおっしゃっていました。その理由として、「これを書いたら、読んだ子はどう思うんだろう・・・」などと周りの目を気にして生活している子ほど自分の考えや思いを書くことが出来ないからだそうです。そこで、習慣的にコミュニケーションタイムを取り入れ、ある話の題材(テーマ)について議論する経験をさせ、ひとりひとり考え方が違って、それこそが良いことなんだということを子どもたちに落としていくことを通して、それぞれに学級への所属意識から来る安心感や存在感が生まれてくる。こお一連の説明を聞いて、自分が目指す学級のお手本の話が聞けたようで、本当に嬉しく思いました。ただ、小野先生は生活作文の朱書きを学級内の全員にするのに数時間をかけていると伺って、これが自分のやり方だという信念がないととても気軽に真似できるようなものではないなと感じました。


◯さいごに・・・
二日間、個性化教育に関していろいろ考えましたが、分科会Eの最後に宮川先生が「学習させる手段がどうであろうと、どの先生方も子どもたちへの願いとねらいは共通している」とおっしゃっていましたが、まさにそのとおりだと感じました。自由進度学習がなかなか普及しないのも、一斉授業しか体験したことのない先生が、極端に食わず嫌いのような状態になっているだけだとも思いました。竹内淑子先生は、学年主任になったときに「パッケージ学習をやります」と半ば強引に取り入れたそうですが、一度それくらいの勢いのある先生に影響されてやってみるのもありなのだろうなと聞いていて思いました。変に毛嫌いすることなく、パッケージ学習と一斉授業のいいとこ取りを単元ごとに織り交ぜながらするのが最善の案のように感じました。どちらが・・・という優劣は二日間とも参加してもわかりませんでしたが、とてもいい学びができた二日間だなと感じています。今後も積極的にこのような学会には参加していきたいと思いました。(早川)
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