12月3日 額田中学校での玉置先生の飛び込み授業記録(高橋、中澤、安倍)

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 こんにちは、4期生の高橋です。今回は12月3日に、岡崎市の額田中学校で行われた玉置先生の飛び込み授業の記録を高橋と中澤で、そこからの学びと、形埜小学校で参加させていただいた授業研究会での学びを安倍が担当し、書かせていただきます。
 ※ 写真は岡崎市立額田中学校のホームページ(校長通信)から引用。

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授業開始

玉置先生(以下、T)「こんにちは。先生の名前を1回だけ言いますので覚えてね。玉置崇といいます。」
生徒(以下 S)「玉置崇 (先生)」
T 「“先生”と付けられる人は社会性がある人です。社会性を発揮してもう一回。」
S 「玉置崇 先生」

T 「私を見覚えがある人?なんの記憶がある?」
S 「落語...」

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T「お願いがある。初めて出会うから、分かったらよく分かってますという顔、困ったら困った顔してみて。常に君らの顔を見ています。」

T「今日は、17番目の秘密をやります。プリントを配ります。」
S「ありがとうございます。」
T「ああ、いいね。ありがとうと言えるのがいいなあ。授業はふざけてない限り何言ってもいいからね。17番目の秘密と聞いて何を思う?」
S「ないです。」
T「ないって言えるのがいいね。」
S「秘密だから、法則性があるんじゃないか」
S「隠してあるのかな」
S「求めるのかな」
T「授業は予想していくことが大事。何か浮かばんか?」
S「はい。」
T「君はハッキリしていていいな。君が授業の最後に分かったと言えたら大成功だな。」

T「どんな数でもいい、1桁の数」
S「8」
T「いくよ、書いた?2番目は先生に決めさせて。2番目は5。まだ書くなよ、8と5を足して答え書いて。13を3と書く。どういうこと?」
S「10を引く」「10をなくす」「13から10を引く」「ないです」「ないです」「ないです」

T「話し合ってみよう」
S「1桁にする」
T「4のところは隣の数たすから、」
S「8」

T「次行くぞ、もうやれそうだな。ずっとこのルールで17までやってみよう。やったら、お隣で確認をする。いいか、間違えないでやってよ。お隣同士確認して。」

T「これ、17番目ってさ、みんな同じになるはず?いろいろあっていい?」
S「同じ」
T「どうして?」
S「? 普通に考えて計算したら同じ。最初の2つの数が決まってる。」

T「今日こんなことやるんだ。いけそうだろ?顔の表情。なんか思った?」


T「8以外で」
S「3」
T「2番目は先生に決めさせて。2番目は5。」
T「ちょっと見たって、どこで間違ってるかチェックしてあげて。」

T「何か思った人いる?」
S「1〜17まである中で2ずつ空いて、2からだとすると次が5になって…」
T「M君が何を言いたいか分かった人?どういうこと?」
S「(何か発言)」
S「それ3つじゃない?」「あ、3つか。3つずつ増えていることがわかる。」「本当だ」
T「M君は、3つずつ同じものがありそうだと。他なにか思った人?」
S「17のところが5になる」「2つ目の数とそろえたら17番目が同じ数になるんじゃないか」
T「いいですね、これも仮説じゃないか。もしここが3だったら?」
S「3」
S「大きい数から小さい数…」「ああ〜」
T「彼はなにを言ってる?」
S「分からん」
T「いつも5になってるの?」
S「上下が同じ以外は…」
T「おお!すごいなあ。分かった?つまり差っていうことだな?よしOK。素晴らしいクラスだな。これは仮説と言うんだ。」
T「間違えないようにするにはどうしたらいい?」
S「検証」
T「どうやって?」
S「2番目の数を変えてみる」
T「賛成の人?N理論でいくと、ここが3になったら…ね!検証だ、よし行こう。」

S「(笑)あれ?いやだ!」「違った!」
T「ミスじゃないの?
1になっちゃった、ということは?N理論は倒れちゃった。世の中みんなそうだ、始めから答えなんかない、」

T「で、どうなった?」
S「今度は3ずつじゃなくて5ずつになってます」
T「え?どうして?ああ、ここが1番目か。5のときは3つずつだったけど3のときは5つ…という理論か。これ見てなんか思うことない?他できる人いない?」
S「えーっと、出来ないです」
S「2の数が決まってたら17の数も決まる」
S「ああ」
T「『ああ』って言ったな。『ああ』を言葉で言って。」
S「2番目の数が決まったら17の数も決まるのはなるほどと思った」
T「お隣同士、『ああ』を言葉にしてごらん。」


T「2番目の数は4つしか試してないからな。仕事を分担するということだろ。君最初2で行こうか。」
(生徒を1〜9まで割り振る。)

T「あれ、これで全部調べられるか?1やる人?2、3……9…あれ?(2人余る)
この2人何やってもらったらいい?」
S「0?」
T「ああ、そうだな0だな。あなた2人、0やってもらわないかん。みんな間違えちゃダメだよ。」

S「やったあ!」
T「N君やったね?何が“やった”?」
S「仮説が少し合った」
T「素晴らしい、2番目の数を決めると17番目の数が決まるんです。今から4人グループになって。もう先生はルールを知ってるんです。そのルールを見つけなよ。」

T「見つけ方がまたコツだぞ。わかったら挙手して。」

T「ルール見つけるには余計な情報を削ぎ落とす。調べる時、なんで0から始めた?なんで5、3、1、2とかでやっていかない?」
S「法則性を…」
T「誰か言ったね、その通りなんだ。」
S「法則性を見つけやすいんじゃないかな…」
T「どうして?」
S「うーん…」
T「きまりを見つけるときは一方を小さい順で並べた方が見つけやすい。これはずーっと活きていく。」

T「よし、もう少し時間あげる、どうぞ。」
T「今ここでね、すごいことやってる。10を全部足していったら、そうやって言い合うことが大事。こうしたら、ああしたらって言ってみよう。そうしたらポンっとひらめくかもしれない。1人で考えても絶対ひらめかない。」

T「T君どんなルールですか?」
S「(発言)」
S「ああ〜なるほど」
T「何がなるほどなの?」
S「例えば、2×17をすると34になる…」
T「17かけなかんか?」
S「7でいい。」
T「実は、7だけかければいい」

T「最後、〇〇君、どう思った?」
(最初に、今日の授業の最後に分かったと言えたら大成功だな、と言っていた生徒へ振る。)

S「ああ〜と思いました。」

授業終了

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 授業の中で、玉置先生は、「クラスは何だ」ということ、1つの数字を豊かに表現させることを大切にしたいと仰っていました。(高橋)


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 こんにちは。四期生の中澤佑太です。今回は、12月3日額田中学校で行われた玉置先生の授業の記録をしました。

11時半
玉置先生「みなさんこんにちは。天気いいねぇ。先生の名前を言いますから、一回で覚えてね。覚えましたか?全員で。」

生徒「玉置崇(先生)」

玉置先生「いいねぇ。今玉置先生って言った人いるよね。社会性があるね。先生って言えるかな。」

生徒「玉置崇先生」

玉置先生「全員意識できたね。四人で話し合いたいから四人にして。四人にしてって言ったらそうして。戻して。そして隣同士近づけて。ところでさ、顔みたことある人挙手して。何で覚えてる。何の落語。」

11時35分

玉置先生「先生授業するけど、いつもの顔の表情して。よくわかったときの顔をして。困った顔をして。みんなの顔をみて授業するから。十七番目の秘密をやります。プリントを配ります。」

11時37分
生徒、プリントを配るときに「ありがとうございます。」と言い合う。

玉置先生「いいねぇ。ありがとうって言葉が出るのか。授業はふざけなければ何言ってもいいからね。十七番目の秘密と聞いて思うこと?一人当てる。」→「ないです。」「ないって言えることがいいね。」→「何か法則があるのでは。隠してありそう。何か求めるのかな。」「授業は予想していくことが大事。」→「ない」→「君が最後よくわかったって言ったら大成功だね。授業はみんなで作るものだからね。」

玉置先生「何か浮かぶ数字ある。」→「8」→「8って書いてじゃあ行くぞ。〜さん書いたね。隣同士確認して。二番目は先生が決めさせて。二番目は5、5って書いて。8と5を隣同士足して。数を書いて。まだ続き書かないで。13を3と書く。13を3と書くってどういうこと。」→「10を引く。10をなくす。13から10を引く。」→「数字にもいろいろな言い方があるね。四番目のところは隣同士足すからせぇーの。」「(全員で)8」

玉置先生「もうやれそうだね。このルールで17までやってごらん。いそいでやれ。」

11時45分
玉置先生「これさぁ。17番目って同じになるか。違っていいのか。どっち。」→「同じ。」→「どうして?…当たり前のことをきくと、答えるの難しいだろう。隣同士確認。」

その後生徒は首をかしげたまま、一通り17番目の数まで埋めていく。

玉置先生「何か思った人いる。」→「1〜17あるから、2ずつあいて、2から5,8となって上下同じ数になる。」→「いいことだね。人の意見を聞いて反応するのはいいことだ。どういうこと?」→「3つずつ同じ数がくる。」→「わかった人。すごい。一つ法則を見つけたね。何かを思って発表するのはいい。仮説って言うんだ。」→「二つ目の数を揃えたら17番目が5になる。」→「なるほどこれも仮説だね。いつも5になるの?」→「上と下が同じ数でないと5になる。」→「すげぇな。素晴らしい。間違えないようにするにはどうしたらいい?」→「(全員で)検証。」→「どうしたらいい?」→「二番目と一番目を変えて行う。」「一番目が7、二番目は3になると17番目は3になるはず。どう。確かめてみて。」→「あれ。1にならない。」→「理論はどうだった。」→「違った。」→「いいねぇ。会社なんてやってみて失敗の繰り返しだからな。」

生徒の考えた理論を全て検証した。

12時01分

玉置先生「これみて(検証後の板書)思うことない?仮説修正できる?」→「2番目が同じのときに17番目も決まっていく。」→「2番目の数は、4つしか試していないからな。試してみよう。仕事を分担していこう。」

玉置先生はクラス全員に1から9まで割り振る。最後二人だけ残す。

玉置先生「あれこれでいいか?あと一つの数字は?」→「0と呟く」→「あと二人は何をしたらいい?」→「(全員で)0」→「みんな間違えちゃダメだよ。学校で仕事しよう。」

その後全員で声を出して確かめる。生徒「やったー」

12時10分
玉置先生「何がやったー?」→「仮説が少しあってた」→「素晴らしい。二番目の数が1だと17番目は5になる。二番目が3だと17番目は1という法則が隠れてたね。四人グループになって。先生はルールを知っているから。仕事の分担の仕方を4人で考えてよ。知恵を出しあって見つかったら挙手して。

12時15分
玉置先生「調べるときに、どうして0から書いたの?なんで5,3,0,1とやらなかったの?」→「法則性を見つけやすいから。」→「どうしてという言葉が大事なんだ。きまりを見つけるときは、片方を小さい方から大きな方へ揃える。」「いいねぇ。分担することで学校の力が強まる。」「案はみんなで共有する。一人であれこれと考えた方がいい。一人で考えたら知恵は出ない。」

12時25分
その後仕掛けを発見したグループが発表し、授業を終える。(中澤)


***


 こんにちは。4期生の安部です。先日、岡崎市の額田中学校での玉置先生の飛び込み授業と形埜小学校の授業研究会に参加させていただきました。三河地区である岡崎市のセミナーに初めて参加させていただき、自分の地元に近いため、親近感を抱くとともに、多くのことを学ばさせていただきました。


 午前中の玉置の飛び込み授業では、初対面の中学1年生の生徒に、「いいか、今から先生の名前を一回だけ言うぞ、よく聞けよ」という独特の自己紹介から入り、「分かったら分かったという顔を、困っていたら困ったという顔をしてくれよ!」と場を和ませつつ、生徒一人一人が素直な気持ちで主体的に授業を受けられる工夫をしているのがさすがだなと思いました。


 今日の授業の題は「17番目の秘密」というものでした。数字の並びの規則性を見つけるという、一見、クイズのようなものでしたが、その中に、仮説を立てて、それを検証する方法、決まりを見つけるときには、一方を小さい順に並べていくと規則性を見つけやすいということ、数学は無駄なものを減らしていくものであることなど、教科書の範囲を超えた数学的な見方や考え方を指導されていました。


 また、玉置先生が繰り返し強調しておっしゃっていたのが、「クラスやグループなど仲間同士で学ぶことの大切さ」です。4人グループの体型にし、それぞれのグループで規則性を見つけさせる場面では、「黙ってずっと考えていてはダメ、こうしたら、ああしたらってつぶやくのがいいよ。」と指導されていました。仲間ととに学ぶことの価値を教え、体感させる授業を日々繰り返しことで、「主体的で対話的な深い学び」の実現につながっていくのだなと思いました。授業最初に「17番目の秘密」という言葉から何も浮かばなかった男子生徒が、授業終わりには「(17番目の決まりがみつかって)あ〜なるほどってなりました。」と、素直な気持ちを言っていたことからも、最初分からなかったことを仲間と共に学ぶことで分かるようになる、深まるという実感をさせることが大切だなと改めて感じました。

 午後に伺った形埜小学校は山の中にある学校で、全校生徒がわずか50人ほどでしたが、人数が少ないからこそとても温かい雰囲気が学校全体に広がり、子供同士の繋がり、先生と子供の関係はとても良いものでした。玉置先生の落語を聞いて、何も考えることなく大きな声で笑う子供たちの様子を見て、とても微笑ましかく感じました。

 同じ地区の小学校でしたが、自分の小学校とは環境は全く異なり、学校全体の雰囲気も全然違ったので、驚きましたが、こんな学校もあるんだな、と実際に足を運び、学び得られたことはすごく良い経験になったと思います。教員になった後も今日の経験を忘れないようにしたいと思います。

 このような機会を与えてくださった玉置先生、そして額田中学校、形埜小学校の皆様、貴重な経験をさせていただき、ありがとうございました。(安部)
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