最新更新日:2023/04/01
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10月3日 The Book through a book

 今回は、ある本を通じて、すばらしい本に出会った、人生のような体験をお話ししたいと思います。
 私は、福岡市総合図書館で、定期的に本を借り読書をしています。大抵3冊ぐらい借りるのですが、ジャンルは決まっておらず、アッツランダムに選んでいます。その中の1つに、David Brooks書の”The Road to Character”という本がありました。自己啓発的な本で、人の生き方にはアダム1とアダム2があり、両極端に走ると一方は、物質主義、無神論的な生き方となり、他方は精神主義的、唯心論的な生き方になるという主旨でした。一方は自己中心的で、他方は他己中心的というわけです。結局、人は死後のお悔やみの内容が、自己犠牲的貢献を褒め称える内容になるか否かというようなことでした。そのアダム2の実例の中に、ジョージ・エリオット(本名メアリー・アン・エヴァンス)の名前が出てきました。この名前を見て、一瞬「えーっ、女性なのに、なぜ、男の名前?」という素朴な疑問が湧き、興味を持ちました。
 彼女は、1819年生まれで、1836年に母親を亡くし、母の代わりに家事をすることになります。1841年にコベントに移り、チャールズ、キャロライン・ブレイ夫妻と知り合うようになります。斬新的な思想に影響され、運命の人、ジョージ・ヘンリー・ルイスと出会います。彼は、妻帯者であるにもかかわらず、アンは同棲することになります。経緯のみを述べると、あまり褒められることではないのです(その当時はもっと、もっと白眼視されたと思われます)が、彼女はルイスが死ぬまで、20年間暮らすことになるのです。そして、彼に薦められ、小説を書くようになります。1860年に「フロス河畔の水車小屋」を執筆します。本を読むにつれて、キリストの髑髏を抱く、マグダラのマリアを思い出しました。マリアは娼婦で、キリストに命がけの真実の恋をします。キリストはその愛を偏見なく受け入れるのです。まさにそのような場面が、三人の男とマギー(この本の主人公)の間で、複雑な心情を絡ませながら、真の愛を感じさせる文に出会うことが出来ました。
 ジョージ・エリオットはイギリスで大英帝国二等勲爵士の称号を与えられる程の大文豪で、文体は難しいのですが、私の心琴に触れるものがありました。シェークスピアの悲劇にも似た結末になるのですが、いつまでも余韻の残る作品です。 
                     (英語科 仮屋幹夫)
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