最新更新日:2023/04/01
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11月16日 英語を学ぶ意義について

 私は、ただ今63歳。あと数日で64歳にならんとしている。中学校で、英語を習い始めてもう何年になるのだろう。64−12=52・・・ここで、英語を何のために学習してきたのかを考察してみたい。そもそも英語に興味を覚えたのは、まだ小学校に入る以前のことだっただろうか。従妹のお姉さんの家に遊びに行った時、机の上に置いてあったノートを覗き込んだことがある。びっしり書かれたノートには変なぐにゃぐにゃ文字が書かれていた。それが英語だと気付いたのはずっと後のことだった。中学一年生の時、なぜか国語の先生が、黒板に英語の筆記体をチョークで黒板から離すことなく、aからzまで書かれたのである。感動した。これが英語に興味を持ったきっかけであった。それから父に、英語の辞書を買ってきてほしいと頼んだ。父はどの辞書を買ってきていいのかわからなかったのだろう。たしか、研究社出版のEnglish Concise Dictionaryを買ってきてくれた。予算の関係もあったのかもしれない。50年位前になるが、今でもその時の喜びを覚えている。中学校の時、英語の先生がでっかいテープレコーダーを持ってきてくれた。二つの大きなプラスチックでてきた輪にテープが巻かれてあり、ガチャとスイッチをひねると、外国人の声が出た。初めて聞くネイティブの声である。英語の先生がゆっくり発音してくれた。先生が外国人に見えた。
 そして、高校に入学した。高校では、英語が嫌いになった。単語の試験。基本的英文の暗記。試験、試験の連続だった。その頃は体罰もありきだったので、よく殴られた。髪の毛を力いっぱい引っ張られて、何本か抜けた。赤尾の英語豆辞典がはやっていた。でも、今思えば、このようなスパルタも役に立ったのではないかと思う。父から、家庭の事情で、私立大学にはやられんと念を押されていた。それでは、国公立の大学しかない。人並みには勉強した。みごと、落ちた。浪人・・・父から予備校の授業料を収めてきたと言われた。ワンモアチャンスを与えられた。浪人時代。おもしろくなかった。タイムカードをガチャンと押すと、予備校のドアを出ていた。よく学校をさぼった。高校時代の友達と映画を見に行ったり、パチンコをしたり、生活が乱れてきた。そんな時、ある宗教団体の無料英会話教室に行くきっかけがあった。ほとんどアメリカ人ばっかりで、すべて英語で話してくれた。おもしろくて、楽しくて、予備校はさぼりが多かったが、この英会話教室は皆勤賞をもらえるほどよく通った。英語を話す楽しさを感じたのはこのころである。そして大学。大学は外国人の多いと言われる長崎を選んだ。実際は、外国人はほとんどいなかった。しかし、外国船はよく入港してきたので、通訳まがいのことをして、観光案内をしたこともある。高校の頃赤尾の豆辞典と並行して、実用英語検定試験があった。その当時は英語嫌いだったので、英検には興味がなかったが、長崎にいたころ、興味を持った。いきなり英検一級に挑戦した。合格するはずがない。しばらくすると、一級の目標が、月の中にある団子のように思えてきた。「名月や、月を取ってくれと泣く子かな」の子供の心境である。英字新聞を毎日読むようになった。わからない単語には赤線を引いて、とりあえずノートに転写した。これが習慣になると、面白くなった。もう読まずには一日が終わった気にならない。一年するとだんだんわからない単語が減ってきた。新聞配達をしていた頃があり、終わって、新聞をいつものように読みおわると、日清製粉のかしわインスタントラーメンの上に生卵をかけ、お湯を注ぐと、なんとまあ、おいしいラーメンができるではないか。これが、日課の楽しみになってきた。そして、3度目の挑戦で、一級に見事合格した。これが、大学時代の楽しい思い出である。
 それから、就職試験。その当時は、他県の試験がそれぞれ独自の日程で行われていたので、複数受験が可能だった。長崎、鹿児島、そして福岡を受験した。一次試験はすべて合格したが、福岡以外は落ちた。そして、今日に至る。最近の楽しみは、英語の小説や随筆を原文で読むことである。数年間は、丸善や紀伊国屋で英語の本を買っていた。ところが、たまりにたまって、本を処理することが出来なくなった。それで、本を買うことはやめた。そのかわり、図書館で借りることにした。3週間ぐらいで、10冊まで借りられる。希望する本がなければ、新しい本を予約できるし、ネットワークによって、ほかの図書館から、借りてくれたりもする。このシステムを利用して、英語の原書を読んでいる。もう、何冊読んだだろうか。数えきれない。ジャンルは様々である。本は、私を推理の世界へ、幻想の世界へ、いろんな世界へと連れて行ってくれる。本の数は無限だ。今、George ElliotのMiddlemarchという本を読んでいる。これは、博多駅にある丸善で購入したものだ。図書館では先約があり、手に入らなかったからだ。
 さて、結論だが、英語の学習の意義はなんであろうか。それは、人それぞれということだろう。文法、単語、熟語の勉強が目標ではない。目標は、その後ということだろう。そして楽しみを見つけたら、マニアック、オタクになることだ。
 最近は、本のおかげで、少し利口になった気がする。人生についても考えるようになった。楽しい空想の世界で遊ぶこともできるようになった。これが生きがいだろうか。わからないが、私の人生に楽しみを与えてくれているのは間違いがない。(英語科 仮屋幹夫)

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