教師力アップセミナー(横山浩之先生)に参加して<お母さん編>

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 教師力アップセミナー(横山浩之先生)へ参加しているのは、教員や学生ばかりではありません。お母さんも参加されておられます。

 すでに本学の学生二人が、先日の横山浩之先生の講演を聞いての学びを発信していますが、母親の立場からの学びを記録された斎藤早苗さん(前小牧中学校PTA会長)のメモをいただきました。

 同じ講演を聞いても、立場の違いによって、とらえ方がこんなに違うものだと、とりわけゼミ生に知らせたく思い、斎藤さんに掲載許可をいただきました。ぜひじっくり読んでみてください。

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●母性と父性

「母性」も「父性」も、本能ではなくて、親になったら自然に生まれてくる、というものではないのですね。
横山先生がおっしゃったのは、「『母性』は子どもとの相互作用で育まれます。『父性』は母と子の関係性を見て育まれます」ということでした。

これは、お母さんの実感としても、共感できるなと思います。
子どもが生まれた途端、「夫婦」は「両親」になるわけですが、いきなり「お父さん」「お母さん」にはなれないですよ。
やっぱり、毎日毎日24時間、「この子を死なさないように」と必死で、子どもとどっぷり付き合っていくうちに、だんだん「お母さん」になっていったように思います。
で、「お父さん」は、そうやって奮闘する「お母さん」と「子ども」を見ていて、「この人たちを守らなければ」という思いがわいてくるのかなと。(これは私にはわからないけど・・・お父さんじゃないからね・笑)

横山先生のお話からも「子育ては、親育て」だな〜ということを、改めて感じました。
ほんとに必死でやってきたけど、ずいぶんと子どものおかげで育ててもらえたなと感謝しています。


●愛着形成は「赤ちゃん期」が勝負

横山先生がおっしゃっていた愛着形成の定義は「人を無条件に信用する能力」ということでした。
これは、「人に信用される能力と同じこと」だそうで、まとめると「人を信用し、人から信用される能力」ということでしょうか。
「無条件に信用できる」環境というのは、ふつうは家庭や家族ということになりますね。
家庭が安心できる場所であることの大切さを考えさせられるお話でした。

また「愛着形成には0歳児の保育が重要だ」というお話もありました。
言葉がわからない赤ちゃんでも、親の感情を読み取ることはできるのだそうです。
ですから、赤ちゃんに笑顔で話しかけましょう、とよく言われるのですね。
危険なことを「ダメ!」と教えることも大切です。0歳児でも、「禁止」されているということはわかるそうです。

例えば小学生でも、愛着形成ができていなくてトラブルになる子への対応には、赤ちゃん期まで戻って「愛情を受けて、人を信用したり、人から信用されたりできるようになる」ために、一つ一つの指導を積み重ねていくのだそうです。
先生が「お母さん」や「お父さん」の役割をするということですね。
先生ってありがたいな〜という思いと、先生にそこまでさせて申し訳ないという思いで、ちょっと複雑でした。


●「授乳は見つめ合う」がよい、でも・・・

衝撃的だったのは、横山先生が見せてくださった1枚のイラストでした。
授乳中のお母さんと赤ちゃんが描かれているのですが、どちらの視線も、お互いを見ているのではなく、別々の方向を見ていました。
テレビを見ながら、何か他のことをしながらの授乳は、子どもによくない、というお話でした。

ここでお互いの目を合わせることで、赤ちゃんは安心し、人を信用するようになる、ということですね。
こうした経験をしていない子どもは、先生や友達と目を合わせられない、うまく関われない、ということになりやすいそう。
「授乳くらい、たいしたことない」と思われるお母さんもたくさんいるでしょうけど、現実に問題になる事例が多いと聞くと、授乳時のスキンシップの大切さがわかりますよね。

でも・・・
正直に言いますが、私は、いつもいつも赤ちゃんを抱っこして、見つめ合いながら、という授乳はできませんでした。
上の子に手がかかっているときには、下の子はビデオのお世話になっていたし、授乳が後回しになることなんてしょっちゅうでした。
疲れていると、うたた寝しながら授乳してました。
子育ての日常というのは、そんなものです。

育児書なんかを見ると「こうして、こうやって、愛情をいっぱいかけて」ということがたくさん書いてあります。
しかし、そのとおりにやりたい、やろうと思っても、なかなかうまくいかないのが子育ての日常なんです。

だから、乳幼児期の子育てが終わった今、私が思うのは、できる範囲でOK、ということです。
まじめで一生懸命なお母さんほど、あまりにも忠実に、完璧にこなそうとして、余裕がなくなっているように見えます。それで、苦しくなってしまうのだろうと思います。
お母さんが苦しくなってしまっては、子どもにとっても良いことはないでしょう。
理想に近づけるようにがんばりつつ、現実との折り合いをつけながら、あまり思い詰めずに「できる範囲でがんばろう」という、少し肩の力を抜いたくらいでいいんじゃないかなと思っています。


●しつけの三原則

横山先生が提示された「しつけの三原則」は、次のとおりです。
1.へんじ
2.あいさつ
3.靴をそろえてぬぐ

実際に、1歳児でも「靴をそろえてぬぐ」という行動が取れる、という写真を見せていただき、驚きでした。
「どうせ、言ってもわからないから」「どうせ、うまくやれないから」と大人は思ってしまいますが、きちんとしつけをすれば、子どもはできるようになるのだそうです。
「やらせない」からできないんですよ、という横山先生の言葉に、なるほど〜と納得しました。

こうしたしつけは、やはり家庭の仕事だと思います。学校で教えてもらうことではないですよね。
ということは、いかに乳幼児期の子育てが大切なのか、ということですね。(うちはもう手遅れですけど・泣)

この「しつけの三原則」を見た時に思ったことは、「大人が手本を見せれば、子どもも自然とできるようになるだろう」ということです。
子どもに「へんじをしなさい」「あいさつしなさい」「靴そろえなさい」ということも必要ですが、まずは親がそれらをできるようになることも大切だろうなと思うのです。
子どもは「まねっこ」するのが大好きですから、大人が「良いお手本」を見せてあげれば、それをまねするようになりますよね。
ですから、親だけでなく、周りの大人たちが、みんなで「良いお手本」になれるといいな〜と思いました。


●先生が「発達障害かも」と思う子どもが増えている

横山先生の調査では、学級の中で「発達障害の疑い(行動異常)がある」と先生方が考えておられる子どもの数が、この10年ほどの間に3倍くらいに増えているそうです。
しかし、実際に障害があると診断された子どもの数は、ほとんど変わっていないということでした。

社会的な変化もありますが、それだけ先生方が「発達障害」(行動異常)に対して認識をもって、対応に苦慮されているということなのだろうと思います。
横山先生のお話では、「行動異常は、発達障害によるものばかりではなくて、環境要因(不適切な子育てをされている)によるものが増えている」ということで、学校の対応について(担任として取り組むこと、学校全体として取り組むことなど)のアドバイスがありました。

こうしたケースでは、多くの場合、家庭での子育てに問題を抱えているので、親の協力を得るのは難しいです、というお話に、同じ親としていたたまれない気持ちになりました。
現実的にこうしたケースが増えていて、学校が難しい対応をしなければならない、という事実を、多くの保護者が知るべきだなと思います。
知らなければ関心は生まれませんが、知ることで少しでも関心を持てるようになると思うのですね。
今子育て中のお母さんたちを追い詰めるようなことにはなってほしくありませんが、それぞれの立場でみんなが「大事なことはなにか?」と立ち止まって考えられるといいなと思います。
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お母さんにとっては、かなり耳の痛い話も多かったセミナーでしたが、振り返って考えるよい機会になりました。
また、幼児や小学生の現状を知ることができて、時代が急速に変わっていることを実感しました。
関係者の皆さま、ありがとうございました。

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