最新更新日:2024/05/31
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探究の天才!南方熊楠に学ぶ 〜とことん、どこまでも

太田中学校の皆さんへ(第5回)

5回目の発信です。今日は私の尊敬する人物を紹介します。

マスクで顔を隠すのが惜しいほど端整な顔立ちのこの人物。この人物こそ、私が尊敬してやまない「南方熊楠」(みなかたくまぐす)であります。

1867年(慶応3年)に和歌山で生まれた南方熊楠は、生涯を通じて、自分が興味を持ったあらゆること(=「森羅万象:宇宙に存在するすべての事物や現象、天地の間にある一切の事象」という言葉がありますが)をとことん、どこまでも「探究」し続けた人物です。とにかく小さい頃から本が好きで、友達と遊ぶのもそっちのけで、本を読むのに没頭。友達の家にあった「和漢三才図会」(わかんさんさいずえ)という江戸時代に作られた絵入りの百科事典(全105巻)を友達の家で見て(記憶して)帰り、自分の家に戻った後、それを思い出してすべて書き写していたという有名な話も残っています。

熊楠は、「粘菌(ねんきん)」研究の第一人者で特に有名です。粘菌とは、動物でもなく、植物でもない生物で、熊楠は和歌山の森の中で、たくさんの粘菌を収集しました。また、粘菌以外にも様々な植物や海の生物などに関心をもった熊楠は、数え切れないほどの標本を残しました。1929年(昭和4年)に天皇陛下が和歌山にお出でになられた時にも、天皇に数々の標本を献上しました。

熊楠の探究した学問は幅広く、彼の肩書きを並べてみると「博物学者」「民俗学者」「植物学者」「人類学者」「天文学者」など、実に多様です。また、語学力も素晴らしく独学で英語、フランス語、ドイツ語など十数か国語(二十数カ国という説もある)をマスターしたそうです。科学雑誌「ネイチャー」に論文が載ったり、イギリスの大英博物館で研究をしたりと、熊楠の学問に対する探究心は、尽きることがありませんでした。

熊楠のポリシーは、「自分が疑問に思ったこと、関心をもったことは、自らの目や手で確かめる、すべてのものを知りたい」ということであり、まさに「探究の天才」であったと私は思います。「幽霊とお化け(妖怪)」の違いを真面目に追究したこともありました。

熊楠のエピソードは、人間味あふれる日常生活の様子も含めてたくさんあり、書き切れませんが、興味をもった人のための入門書として私が薦める本は、「学習まんが人物館 南方熊楠」(小学館)や「猫楠(ねこぐす)南方熊楠の生涯」(角川文庫)で、いずれも漫画で熊楠という人物を理解するのによい本です。また、さらに興味をもった人は、和歌山県西牟婁郡白浜町にある「南方熊楠記念館」を訪れてみてください。私も以前訪れましたが、目の前に海のある、とても景色のよい場所でした。

一年生の皆さんはまだ未経験ですが、太田中学校の「総合的な学習の時間(創造未来学習)」で各自が行う「探究活動」は、南方熊楠のそれにつながるものがあります。太田中の皆さんも、熊楠の探究の姿勢を手本にして、自分の決めたテーマを、とことん探究してみてください。

私たち太田中の教師も、教育のプロとして、それぞれの専門教科等について一層深く考え、探究し続けていきたいと思っています。

太田中学校長  今井 東

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