「まつのやま学園いじめ防止対策基本方針」をアップしました。いじめは喫緊の教育課題です。毎年全国のあちこちで,いじめによる悲惨な事件が報道されます。最近もありました。これはもう,深刻な社会問題です。ですから社会総掛かりで,この問題に立ち向かっていかなければなりません。現在は平和に見えるまつのやま学園ですが,「いじめはいつでもどこでも,だれにでも起こりうること」と考えて,「総勢26名の職員全員で,80名の子どもたちの様子をよく観る」ことを職員に指示しています。 さて,特に低学年の子どもなどは,ふざけ合っていてほんの少しトラブルになった程度でも,「いじめられた」と泣いて訴えてくることがあります。 文部科学省の「いじめの定義」は,「本人がいじめであると感じれば,それはいじめである」となっています。今は法的にもそうなっているのです(平成25年公布『いじめ防止対策推進法』)。当学園の基本方針にも,「いじめの定義」として,そのように記載してあります。私たち大人は,まずこの点をしっかりと把握しておかなくてはなりません。「昔はよくあった」「自分が子どもの頃はこうだった」は,通用しないのです。 そこまで法を含めて整備して、かけがえのない子どもたちの「命」を守ろうとしているのです。 ただ他方,実際に日常の学校生活で起こる一過性の些細なトラブルまですべて「いじめ」としてしまうと,かえって陰湿で重大な「いじめ」との区別がつかなくなる危険性もあります。 したがって,子どもたちにいじめを重大な事件として受け止めさせるためにも,「単にいやなことをされたのか」「いじめられたのか」を区別できるように教えておく必要があります。特に,どんなことがいじめにあたるのかという定義をきちんと教えておくべきです。 たとえば例として, ・長い期間,複数回にわたり本人がいやがることをしたり言ったりし続けている場合。 ・本人が「やめて」等々拒絶してるにもかかわらずその行為を続けた場合。 ・複数の人たちが集団で一人や二人にいやなことを続けたとき。 ・明らかに力の差があって(腕力や年齢),強い者が弱い者にいやなことを続けたとき。 ・本人がどんなにがんばっても改善できない体のことや,家族のことなどに関する悪口を言い続けたとき。 ・無視や「口をきかない」などの精神的に傷つく嫌がらせを継続したとき。 ・気持ちをすごく傷つけるようなひどい言い方や行動をとったとき。 などが挙げられると思います。当然,昨今ではSNSによるものもありますね。 これらのことが「いじめ」であり,人として絶対にしてはいけないことであると,周りの大人が1年生の時から繰り返して話しておくことが大切です。 そうすれば,何かトラブルがあったときに,いじめた方にも,いじめられた方にも,そしてこれを見ていた周囲の子どもたちにも「四人がかりでAさんのことを無視し続けたでしょ。それはいじめだよ。」となど指導することができます。よく言われることですが,大切なことは,いじめは当事者のことだけではなく,それを見ていた周囲の子どもたちも含めていじめを許さない雰囲気を作り出すことなのです。 この学園で「いじめ」が起こったとき,先生方や学園全体がどのように対応するのかについて,以下のことを職員に指示してあります。 ・いじめは絶対に許しません。いじめがなくなるまでは,先生方全員が協力して働きかけます。 ・いじめを先生に伝えた子どもに,「おまえ,チクったなあ」などといじめることも絶対に許しません。 ・「いじめかなあ」と思われることがあったら,先生たちが複数でいじめられた人,いじめた人,そしてそれらを見ていた人全員に話を聞いて判断します。本当のことが分かるまで話を聞きます。 ・いじめだと分かったら,すぐに生徒指導の先生や教頭先生方,副学園長や学園長に話をしていじめた人や見ていた人に対して厳しく指導をします。 ・いじめをやめなかったら,おうちの人に話して協力してもらいます。 ・いじめがなくなるまで,続けます。 いじめは,子どもたちの心の問題です。そうである以上,いつ起きても不思議ではありません。いじめというドロドロしたマイナスエネルギーをプラスエネルギーに変換していくには,学園と各ご家庭,地域の協力が不可欠です。 特に問題のない(ように見える),今こそ「攻め」の指導のチャンスです。何もなくても,気になることがあれば連絡を取り合っていきましょう。普段からのパイプが大切です。よろしくお願いいたします。 |
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