岐阜新聞掲載 コロナ禍で子どもの「うつ症状」深刻 タブレットに「天気記号」心の変化を見える化 20210731

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 2021年7月31日岐阜新聞社会面に、「心の天気」活用の記事が掲載されました。以下は岐阜新聞webからです。

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 新型コロナウイルスの影響によりマスク着用や黙食などの制約が続く学校現場で、子どもたちの「うつ症状」が深刻化している。そうした中、岐阜県恵那市がタブレット端末を活用し、子どもたちの心の変化をつかむ「心の天気」システムを県内で初めて導入した。先行実施校で活用が始まっている。

 国立成育医療研究センター(NCCHD)が継続的に実施する「コロナ×こどもアンケート」によると、第4回(2021年2月公表)では小学4〜6年生の15%、中学生の24%が中等度以上のうつ症状が見られることが判明。第5回(5月公表)では先生への相談のしやすさが「減った」子どもが「増えた」の約3倍以上の51%に上るなど、心理的ストレスを抱える実態が明らかとなった。

 見えにくい子どもの心理を見える化するのが「心の天気」システムだ。タブレット端末を使い、「晴」「曇」「雨」「雷」の四つの天気記号から、児童生徒自身が今の気持ちに近いマークを選んでタッチする。毎日の履歴データから、児童生徒の心の揺れ動きに教員は早く気付ける。子どもにとっても負担感なくSOSを発信できる。

 システムは、岐阜聖徳学園大の玉置崇教授(64)の研究が基になっており、学校支援システムを手掛けるIT企業のEDUCOM(愛知県)が提供。大阪市の全小中学校のほか、名古屋市などで利用が広がる。県内では、玉置教授が恵那市のICT教育に関わることから、市内の全22小中学校で活用が決まった。

 先行実施校となった山岡中学校(同市山岡町下手向)は6月下旬から運用を始めた。抵抗感があったり、自身の平常心の状態がどのマークに当てはまるのか戸惑ったりする生徒もいたが、徐々に自分の心を客観的に捉えられるようになってきたという。

 システムには生徒自身がコメントを書き込める機能がある。教員からは「いじめなど深刻な相談は入力に時間がかかり、周りの目を気にする子もいる」として、生徒とやりとりする生活ノートを併用すべきといった意見があった。生徒が入力したマークは教員間で共有でき、「教員の指導力や経験年数の差に関係なく、複数の目でサインをつかめる」との意見も出た。

 市内の他校では2学期から活用を予定する。市教育委員会の山本晋平指導主事(49)は「マークを手掛かりに、どのように生徒の気持ちを引き出すかが重要。試行を重ねながらより良い個別指導につなげたい」と話す。
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