転校生(下野)

 こんにちは、7期生の下野です。秋が深まりました。教員採用試験も無事終え、ある目標を立てました。1週間に1本、思ったこと感じたこと日々のこと記事にしようと。
 「書くことによって学ぶ」玉置ゼミ。もうゼミで学ぶ学生生活もあと半年を切りました。卒業は、すぐそこです。最後の私の目標です。ご高覧頂ければ幸いです。

 小さい頃から映画が好きでした。なんだか違う世界に行ける気がしたから。人生の夏休みの終盤を迎えた私の休日は、映画鑑賞三昧です。
 久しぶりに、『阪急電車 片道15分の奇跡』を観ました。3歳まで兵庫県宝塚市に住んでいた私。兵庫での記憶はあるようなないようななのですが、阪急電車に乗った記憶、阪急電車から見える景色はしっかりと覚えています。なんだか懐かしくなる映画です。

 映画を観ながら懐かしさを感じていると同時に、沢山の街の空気や景色が思い浮かびました。私は、父の仕事で転校生になる機会が多かったです。それぞれの街の空気と景色が色濃く記憶に残っています。

 一見華やかな転校生は、そんなに楽しいものではありません。何度か転校を重ねるうちに、「どうせ友達なんて、2年でばいばいだし。」の気持ちになりました。本当は、出来た輪の中に入ることが苦手でした。でも、父と母には迷惑や心配をかけたくない一心で毎日学校に通っていた私。友達が出来なかったわけではありません。ただ、疎外感というか余所者感は抜けませんでした。今思えば、私がそう捉えていただけなのかもしれません。

 どことなく「余所者扱い」を感じながら、通う学校の私の唯一の楽しみは、季節が変わる頃の空気や街の景色、雰囲気でした。場所によって匂いが違うのです。同じ季節でも、どことなく違う香りがする。

 私は、愛知県に転校してきて初めて「金木犀」の香りを知ったように思います。愛知県へ転校する一つ前は、東京に居ました。東京にいた頃は、「金木犀」を感じなかった。恐らく植えてはあったはずなのですが、どうも気づかなかった私は、「金木犀」の香りを愛知県で初めて知りました。

 「金木犀」を知ってから少し学校へ行くことが楽しみになりました。秋口には、「もう金木犀の季節!」と思ったり、秋を待ち遠しく思いながら1年を過ごすのです。

 4月から教師になります。きっと転校生にも出会うことでしょう。私の人生は、上手いこと出来ているのかもしれません。なんだか「余所者扱い」を感じたあの日々も、ちょっとだけ無理をしてでも笑顔でいたいなと思っていた日々も、「金木犀」と出会ったちょっと楽しみな通学路も。いつか子どもたちに話せるように思うのです。

 沢山の気持ちが私の人生には渦巻いていたのでしょう。悪く言えば、繊細で気にしいで自分の殻に閉じこもっていたのかもしれません。でも今は、それで良かったと思います。色んなことを色んな経験をちゃんと傷ついて、ちゃんと前を向いて、ちゃんと自分のものにしてここに立っていられるから。

 人生にある全ては意味があると、昔の私は今の私に教えてくれました。いつか転校生と出会ったなら、昔の私がその子に話しかけてくれるでしょう。「大丈夫、貴方の人生で転校は必ず意味あることだから。なかなかできる経験じゃない。なが〜く人生を見たなら、きっと宝物になる。今貴方の目の前にいる先生がそうだったよ。」と。(下野)

※ 写真は、阪急電車 片道15分の奇跡 : フォトギャラリー 画像 から。
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