拙著から紹介【先生のための話し方の技術】(玉置崇・菱田さつき共著 明治図書)

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 今回は、菱田さつきさんと共著の「先生他のための話し方の技術(明治図書)から、「うまい落語家はよく聞いている」を紹介します。なお、ここをクリックしていただくと、菱田さつきさんによる本書の紹介を動画でご覧いただけます。

うまい落語家はよく聞いている

 落語家は話すのが商売です。お客様の前で、落語を演じてお金をもらい、それで生業を立ているのですから、「落語家は話すのが商売」をだれも否定しません。

 しかし、うまい落語家はよく聞いています。何を聞いているかというと、お客さんの笑い声です。わざわざこのように表すほどのことではなく、当たり前のことなのですが、笑い声をちゃんと聞いていないと、自分のしゃべりがお客さんの笑い声と被ってしまい、大切な言葉を伝えられないことになってしまいます。もう少し詳しく話します。「笑い声がおさまりかけたときを狙って、次のくすぐり(ギャグ)を出す」ということです。まだお客さんが笑っているのに、そこにくすぐりを放っても笑いはとれません。

 子どもたちに落語を教えたことがあります。子どもたちは一生懸命に落語を覚えて話します。稽古のときはなんら困りません。ところがお客様の前になると、お客さんの反応は一切無視です。お客さんの反応を見ながら、間を意識して話すような余裕を期待していませんが、それでも素人子ども落語をよく聞いて笑っているお客さんが笑う機会をなくしているのですから、残念でしかたありません。「聴衆反応を聞きながら話す」と言いますが、落語家は聞き手の反応を意識して話すので、お客さんと息が合う落語ができるのです。

 もちろん教師も同様です。子どもの反応を意識せず話すと、徐々に子どもは離れていきます。
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