拙著から紹介【チームリーダーの仕事術】(明治図書)

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 今回は、「主任から校長まで学校を元気にする チームリーダーの仕事術」(明治図書)から、「気持ちよく働くことができる学校」を紹介します。この本、7刷目のロングセラーになっています。

2 気持ちよく働くことができる学校

 人が「気持ちがよい」と感じるときは、どのような場合だろうか。学校組織であるために、すべてが自分の思うようにはならないことは、だれもが承知している。しかし思うようにならなくても気持ちよく働ける学校と、思うようにならないので気持ちよく働けない学校がある。

 その違いはどこから生じるのか。リーダーの振る舞いが多分に影響していると考えている。その職員の気持ちに寄り添い、納得できる道筋を示し、仕事を進めているかどうかで、心情的な違いを生み出すと考えている。気持ちに寄り添う一言、パフォーマンスを上げるための仕事の段取りなど、気持ちを左右する要素は様々である。

 教頭職で会った時に、その当時の校長から、正直に言うと、納得できない依頼を受けたことがあった。それは「自分の代わりに原稿を書いてくれ」というものだ。もちろん、その原稿は校長名で出される。忙しさを比べたら、間違いなく教頭である自分の方だ。しかし、上司からの依頼であり、勉強の場を与えてもらったと気持ちを押さえて、徹夜で原稿を書きあげて校長のところへ持っていった。もちろん、大いに褒めてもらおうという気持ちを込めての校長室訪問だ。

 その校長は手渡した原稿にじっくりと目を通した後、こちらに目を向けて「あなたは、なぜこんなにも私の気持ちがわかるのだ」と言い放った。思わず「ありがとうございます」と頭を下げて、校長室を出てきた。

 しばらくして気づいた。なぜ自分がお礼を言ったのだ。言うべきは校長だ。しかし、「なぜこんなにも私の気持ちがわかる」という一言で、すべてを許すことができた。リーダーの一言は大きい。校長となった時には、この言葉を吐きたいと考えているが、なかなかそのチャンスはない。

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