【案内】学び合う学び研究所9月セミナーお勧め

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 9月10日(土)に以下のように、学び合う学び研究所主催のセミナーにコメンテーターとして登壇します。2年間関わらせていただいた犬山中学校の実践発表と、それを通して皆さんで話し合っていただきます。奮ってご参加ください。

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学び合う学び研究所 第6回セミナーを9月10日(土) 13:30〜15:30に開催します。
会場:愛知文教大学 ABUラウンジ
テーマ:深い学びの実現を社会科から考える 詳しくはここをクリックしてください
講 師:実践発表者  犬山市立犬山中学校 教諭 安形 直樹 先生
   :コメンテーター 岐阜聖徳学園大学  教授 玉置  崇 先生    
申 込:学び合う学び研究所ホームページ 行事予定 9月予定GOOGLE フォームより

<セミナー内容> 
 安形先生からは、単元をつらぬく課題に対して、社会的な「見方・考え方」を働かせながら、知識を相互に関連付けて、級友の考えを参考にしながら、生徒一人一人が納得解・最適解を導き出す授業実践を発表します。深い学びができたと考察する生徒の振り返りも紹介していただき、フロアーで学び合いたいと思います。
 犬山中学校のアドバイザーをつとめる玉置 崇先生からは、犬山中学校の授業研究を通した学校改革の取り組みについてコメントしていただきます。

<スクールバス利用のお知らせ>
 公共交通機関をご利用の方に、スクールバス(JR高蔵寺駅発13:00一便のみ)を準備しました。乗り場案内も添付いたします。ご利用ください。

【拙稿紹介】全教職員を大切にする「働き方改革」

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 月刊誌「教職研修」に掲載された「全教職員を大切にする働き方改革」の原稿を消化します。

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教職員×四倍の責任を負っているよ

 このタイトルは、私が校長になったときに企業の社長から言われた言葉です。
「玉置さん、校長就任おめでとう。先生方が30人ほどおられる学校ですか。ということは、120人ほどに対して責任を負うわけですね」
 この言葉を聞いたとき、120人という数の意味がまったくわかりませんでした。私の表情でわかっていないことが伝わったのでしょう。
「校長は社長と同じ。従業員には家族があるでしょ。一人平均4人家族だとしてごらんなさい。社長は、従業員数の四倍の責任があるということですよ。その従業員が辞めるということになったら、家族の明日からの生活もどうなるかわかりませんよ」
 校長の責任の重さをつくづく感じさせられた言葉でした。最近、教師人生に挫折したり、先行きを考えず、とりあえず辞めてしまったりする方も増えてきているようです。働き甲斐がある職場づくりは重要です。
 
働き甲斐がある職場づくり

 働き甲斐がある職場とは、どのような職場でしょうか。一つには、自分はこの職場で認められ、大切にされていると感じられる職場ではないでしょうか。
 私には忘れられないことがあります。校長時代に出会ったある教員との出来事です。その教員は、他の教員と一線を引いていて、図書担当であることもあって、授業後は職員室ではなく、図書室にいることが日常となっていました。したがって、私も会話をする機会はほとんどありませんでした。
 このままではいけないと思い、授業後に図書室を訪ねてみました。机上に置かれていた通信らしきものに目がとまりました。その教員は、教科通信を発行していたのです。前時の学習内容や子どもの発言を再現し価値付ける記録、教材関連情報などが書かれた通信が、驚くことに学級ごとに発行されていたのです。
 子ども一人一人を大切にした教育実践を地道に続けておられることを知り、私は素直に感動の気持ちを伝えました。それからは教科通信が校長机に置かれるようになりました。それをもとにちょっとした会話をしたり、授業を参観したりすることも生まれました。

 夏季休業中のことです。その教員が旅行先から私宛にお土産を送ってくれました。中には、「日本一の校長先生にお会いしました」とメッセージがありました。振り返ってみると、私はその教員のよさを知り、素直に認めただけです。本当は全教職員の前で、この教員の素晴らしさを伝えたかったのですが、性格的に好まれる方ではなかったので、そっとしておきました。
 しかし、校長が教員を認めているということは伝わるものです。その教員と会話をする者が増えました。そして、その教員の実践にはますます磨きがかかりました。

働き方改革の本質を忘れない

 働き方改革の推進が提唱されるようになり、職場ではそれなりの変革がされていることと思います。
 重要なことは、働き方改革は時間短縮だけが目的ではないということです。学校での滞在時間が短くなっても、それぞれを認め合っていない集団であれば、居心地が悪く、気持ちよく働くことができない職場ではないでしょうか。
 管理職は、「我が校は、教職員が苦しいときに弱音が吐ける職場かどうか」という視点を常に持っていることです。認め合うことができているからこそ、自分の苦しいところを発露できるのです。
 学び合いの授業を推進しようとしている学校から相談を受けたことがあります。「子どもたちには、『分からないときは分からないと言いましょう』と伝えています。それができないのです」
 大人なら、なおさらです。そのためには、リーダーが率先して教職員のよさをつかみ、互いによさを認め合う集団づくりをすることです。「この職場には、元気が出る空気がありますね」と言える学校の方が、定時退校よりずっと働き方改革が進んでいると思います。

【拙稿紹介】困ったら回せ!

 月刊誌PHPに「校長の快談」と題して連載をしていました。今回のその中から、拙稿「感動の「困ったら回せ」という言葉」を紹介します。

 中学校に勤めていたときには、バレーボール部の顧問をしていました。ある年度のチームは、それまで指導をしてきた生徒達と比較すると、小さな体格な者が多く、これまでのように強いチームになることは難しいと思っていました。

 ただし、一人だけ立派な体格で、中学生とは思えないほどのジャンプ力を持ったA君がいました。したがって、この年度のチームは、このA君の攻撃力に頼るしかありませんでした。勝つための作戦はただ一つ。「困ったら、Aに回せ」というものでした。

 A君は、その当時としては珍しく、バックアタックを打つことができる選手でしたので、とにかくセカンドボールを高く上げて、彼に決めてもらおうという、実に単純な作戦です。
 
 彼は、高く上がったボールをコート後方からも、切れの良いアタックで相手コートに沈め、見事に期待に応えてくれるのです。
 
 A君の活躍のおかげで、その年度のチームも、市内大会優勝という伝統を守ることができました。名実ともに、A君はチームにとってなくてはならない選手でした。
 
 ところが、彼は勉強が大の苦手で、教室ではじっとしていることがなかなかできませんでした。授業中には、何かにつけて教師から注意を受けることが多く、職員室では、
「A君の指導は難しい。注意しても、素直に聞かない。高校に行かないから勉強は必要ないと言っている」
といった報告がされるほどでした。いわゆる問題生徒だったのです。

 しかし、バレーボール部では、A君は自分がチームの大黒柱であると自覚しています。また、自分をそのような存在にしてくれた私への恩義を感じていたのでしょう。部内では、とても素直で意欲的な選手でした。

 私が大学教授になったときに、このA君がお祝い会を開いてくれました。A君は、
「私がバレーボール部員だったときに、先生はどのような作戦を立てていたかを覚えておられますか」
と尋ねました。
「勝つためには、君に頼るしかなかったので、『困ったら、Aに回せ』と言っていたね」
と応答したときに、土建業の社長をしているA君が誇らしげに名刺を見せてくれました。その名刺には、

「困ったら、Aに回してください」

と書かれてあったのです。感動で、体が震えたことを覚えています。教師冥利に尽きる言葉でした。

※写真は記事とは関係がありません。30数年追いかけ続けている野口芳宏先生と開催している「教育と笑いの会」からのワンショットです。
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【拙稿紹介】職員会議などの諸会議をスムーズに進行して時間を生み出す

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 昨年、ぎょうせいの隔月刊の中で連載をさせていただいた「教頭・副校長のための時間が増える!仕事のワザ」から、タイトルの拙稿を紹介します。

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 教頭・副校長として、様々な会議の企画や進行役を務めることがあるでしょう。今回は、その会議をより充実させたり、進行をスムーズに行ったりする技をお伝えします。

 職員会議の進行をスムーズにする技

 職員会議の議題はどのようにして決めているでしょうか。多くの学校は、次の5点から決定していると考えています。
1 昨年度同時期の職員会議での議題をもとに決定
2 運営委員会の話し合いをもとに決定
3 専門委員会などの校務分掌からの提案をもとに決定
4 事務部からの提案をもとに決定
5 校長・教頭の意向をもとに決定
 さて、職員会議の次第(議題一覧)作成に、時間をかけていませんか。GIGAスクール構想をより早く実現するために、教職員もICTを積極的に活用しましょう。

 例えば、校務支援システムの連絡掲示板に議題としたい事項をそれぞれの立場から書き込むと良いでしょう。書き込まれた議題を見て、このことも話し合っておきたいと、新たな議題が浮かぶこともあります。協議する順は最終的に決めればよいことです。まずは提案したい者が自身で書き込むというルールを作ると、次第作成の時間が省かれ、手間がなくなります。

 なお、議題提案の際に、協議に要したい時間も加えてもらうとよいでしょう。
・10月の行事予定ついて(10分)
・卒業証書授与式について(20分)
・10月から2月までの下校時刻について(10分)
というように、提案者に協議時間として必要と思う時間を記してもらうのです。議題が多くなれば、当然、全体時間が長くなります。勤務時間の関係で要望通りの時間を設定できないことは多々あります。会を進行する教頭・副校長が会議終了時刻から逆算して、それぞれの議題にかける時間を決め、それを次第に明記しておくことで、会の進行がよりスムーズになります。
 
 なお、時間を明記した以上、その時間は厳守すべきです。協議の中で予定した時間内で結論が出せない事柄も出てくることがあります。その際は、進行役の腕の見せ所です。「〇については運営委員会で結論を出すことでよいでしょうか」「□については担当の専門委員会で審議してもらうことにして、翌月の職員会議で提案していただくことでよいでしょうか」「△については校長先生に最終決定していただくことにします」などと、次のステップに移行する提案(空気を読みながら賛同を得られる提案を心掛ける)をして、次の議題に移ることが大切です。
 
 さらに職員会議提案はすべてデジタルで行うことにも挑戦するとよいでしょう。掲示板上に議題一覧が掲載されるわけですから、そこから各提案文書へのリンクをはり、議題をクリックすると文書が立ち上がってくることは容易にできるはずです。提案者も印刷・綴じ・配付の手間が省け、職員会議のデジタル化に賛同することでしょう。

PTA・地域会議の進行をスムーズにする技

 PTAや地域会議の進行は、教頭・副校長として神経を遣う業務の一つです。

 忘れてはならないのは、PTAや地域からの参加者は、時間の調整をしたり、仕事を休んだりして、それぞれが時間を生み出して学校に来ていただいていることです。教頭・副校長は勤務時間内で会議を行うことが多いので、失念しがちなのです。

 このことを踏まえると、PTAや地域会議の進行で心掛けるべきことが明確になります。参加者が「参加してよかった」と思うことです。単に報告だけの会議だったらどうでしょう。わざわざ学校に足を運ばなくても文書を送ってくれればよかったと思う方がいます。オンライン会議で十分だったと感じる方もいるはずです。

 このような気持ちを持っていただかないようにするためには、会議の中で、声を発してもらうことです。議題についての感想を述べるだけでも、参加者の意識は異なってきます。
「〇さん、昨年度と変更した箇所についてどう思われるでしょうか」
「□さん、地域でこのことについて耳にしたことはございますか」
「△さん、学校がこのようなことをしますと伝えると、保護者の皆さんはどう思われるでしょうか」
など、授業のように参加者を意図的指名します。そこで、参加者が答えやすい問いを発して、気軽に発言してもらいます。そのとき、「ありがとうございます」「なるほど。気づきませんでした」「大切な指摘です」などと、必ずお礼を述べることを忘れていけません。
 このことで、時間がなぜ生まれる技となるのかと疑問を持たれる方があるでしょう。経験上、大いに時間を生み出すことになると自信をもって言えます。

 会議を通して、PTA役員や地域役職者とコミュニケーションをとっておくと、「あの教頭・副校長なら伝えておいた方がよい」と思われるのでしょう。電話等で、「実は…ということがあるのだが、知っておられるか」などと情報を寄せていただけます。わざわざ伝えられる情報は貴重です。びっくりするような事柄もあって、事前対応ができて大事にならなかったということが幾度かありました。知らずしていれば、問題が発覚したときには、その対応にかなりの時間を割かなくてはならなかったと思ったことが何度もあるのです。コミュニケーションは時間を生み出すための直接的な手段ではありませんが、そのことで無駄な時間が省かれると、経験上、強く思います。

【拙稿紹介】日本教育新聞連載「校長塾」公開

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 平成25年3月4日から26回にわたって、日本教育新聞に連載した記事を後悔します。

 連載タイトルは「校長塾 経営力を高める」です。

 ありがたいことに好評で、当初は8回でしたが、26回まで続きました。

 ここをクリックしてお読みいただけましたら幸いです。

【拙稿紹介】「やりたいことをやるためのコツ」(月刊プリンシパルより)

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 かつて「月刊プリンシパル」(現在休刊)に「校長の裏ワザ」と題して連載を3年間させていただいていた。今回は、その中から「やりたいことをやるためのコツ」と題して掲載された原稿をお読みいただきたく思います。

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新型コロナウイルス感染防止疲れ

 すべての校長が新型コロナウイルス感染拡大防止のために、相当にお疲れだと思います。親しい校長から学校現場の現状を聞くと、4月に入っても休校が続き、校長は教育委員会主催の校長会議が緊急で行われたり、それを受けて自校の方針変更を決断したりと、一瞬たりとも神経が休まらないとのことでした。

 3月末の突然の休校では、学級担任は年度末処理などで忙殺されていましたが、新年度に入っての休校では、学級担任は仕事をしようにもやることがなく、休暇も取りやすく(中には自宅研修も可能な地区もあり)、管理職のみが忙しい状況で、こちらが労って欲しいとぼやいておられる方もありました。

やりたいことをやるためのコツ

 私が校長時代には、幸いにもこのような事態はありませんでしたので、今の状況にあてはめてはいけないと思いつつ、やりたいことをやるための裏ワザを提言させていただきます。

 校長時代には、企業の協力を得て、学校運営で積極的にICTを活用し、多くの視察を受ける学校になりました。もちろん私一人の力ではありません。教職員の力を借りて、先進的で他校に大いに参考にしてもらえる取組をする学校に変容させました。こうしたことから学校視察が増えたのです。

 訪問者からの質問で多く受けたのが、「なぜ、このようなことができたのですか」というものです。その質問の裏には、「我が校でやろうと思っても、おそらく教育委員会が認めてくれないだろう」とか、校長会で諮ると「他校のことも考えてほしいと言われそうだ」といった考えが推測できた場合は、次のように助言しました。

「教育委員会や校長会に相談しなければいい。報告しなければいい」

 当然びっくりされます。しかし、校長として学校運営を任されているのですから、最後は自分が責任をとればいいのです。教育委員会から、これまでの教員経験を踏まえた上で、校長職を命じられているのですから、自信をもって判断し、動けばいいのです。教育委員会や校長会に相談をすれば、全体のバランスを考えるでしょうから、「あなたの学校だけを認めるわけにはいかない」という指示に収まりがちなのです。

あなたの学校だけでできることは困るという指示

 この4月に、管理職から、次のようなことがあって困りましたと聞きました。このような事態となり、子どもたちのことを考えて、小規模校のよさを生かした教育活動をしようと考えたそうです。ところが、教育委員会から「こういう事態だからこそ、どの学校も共通行動をしてほしい。子どもの数が少ない学校だからできるような活動は、謹んでいただきたい」という指示があったそうです。

 学校運営はその学校の実態に応じてすべきものです。他校とのバランスを取ることを第一にすべきものではありません。校長が良いと思ったことは、躊躇することなくやればよい、相談している時間があれば、すぐに実行すべきだと改めて思いました。

【拙稿紹介】ぎょうせい教育ライブラリに掲載

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 ぎょうせい教育ライブラリに拙稿が掲載されました。
 
 玉置崇の教育放談 [第1回] 「どうですか?」「いいで~す!」の教室文化への疑問

 放談ですから、思うことを素直に書きました。ぜひ上をクリックしてお読みください。

働き方改革時代の校長・副校長のためのスクールマネジメント・ブックを読んでの感想

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 この夏の研修先で拙著「働き方改革時代の校長・副校長のためのスクールマネジメント・ブック」を購入し読まれた方からの感想が届きましたので紹介します。

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 当日購入した「スクールマネジメント・ブック」をあの後すぐに読みました。まさに今すぐ実践したい事柄がたくさんありました。日々、先生と同じような考え方で過ごしていることもあり安心した部分もあるのですが、なんとなく感じているにとどまり、具体的に動けていませんでした。また、このような言い方(言葉)をしないと十分に伝わらないなと感じたことが多かったです。

 そして、校長とは、学校に関わる全てのことによりよくかかわらないといけないと思いました。恥ずかしながらこれは教頭先生に・・・とか他人に遠慮していた自分を反省しました。アイデアがあったらすぐに動き出す一歩を行動で示す勇気をいただきました。

 これまで自分に自信がなく、慎重に動くことを優先したり、他の職員に余計な気を使ったりして、時間ばかりが無駄に過ぎてしまって恥ずかしい限りです。限りある時間を悔いなく行動に使いたいと思いました。もっともっと玉置先生のお話を聞きたいと思いますが、自分で考え主体的に動いて学校経営をしていきたいと思います。

【拙稿紹介】「教職員への「即時評価」に効果あり」(月刊プリンシパルから)

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 かつて「月刊プリンシパル」(現在休刊)に「校長の裏ワザ」と題して連載を3年間させていただいていた。今回は、その中から「教職員への『即時評価』に効果あり」と題して掲載された原稿をお読みいただきたく思います。

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一声かけるタイミングを失う

 校長として教職員の良いところを見つけたり、褒めたりすることに心がけておられると思います。

 ところが、次のようなことはありませんか。例えば、集会で生徒指導主事が子どもたちに講話をしたときの日です。良い話をしてくれたので、生徒指導主事に「とても心に染みる話でしたね」などと、一声かけようと職員室にいても、生徒指導主事はなかなか職員室に戻ってきません。次の休憩時間にこそ声をかけようと思っていても、電話が掛かってきて、その応対をしているうちに休憩が終わってしまい、その教員に会えずじまい。一声かけるタイミングがなく、そのうちに忘れてしまったという経験はありませんか。

褒めた事柄が伝わらない

 また、せっかく褒めたのに、相手に伝わっていないと感じたことはありませんか。例えば、若い教師の授業を見た日です。良い発問がされて、子どもたちの追究心を高めたと感じた場面があったとしましょう。夕方、その教師に、
「今日の二時間目の授業での発問、良かったねえ」
と一声かけたとします。嬉しそうな表情をしても、どの発問のことを指しているか、この教師はピンときていないと感じたことがありませんか。

「即時評価」が効果的

 この二つに似たような経験は、誰もが持っておられると思います。
 そこで、「即時評価」をお勧めします。例えば、集会で講話を終えて、朝礼台や舞台から降りてきたときです。そのときに、「ナイスな話でした」「とてもシャープな内容でした」「思いがしっかり伝わってきました」など、短い言葉で、相手に一言伝えるのです。
たった一言で十分です。一言があるかないかで、話し手の心持ちは大きく異なってきます。講話をした者は、「校長はどう思っているのだろうか。自分なりに工夫して話したつもりだが・・・」と考えているのではないでしょうか。だからこそ、講話直後の校長からの「一言」はとても嬉しいはずです。
 なぜなら、自分がこうしたことを心がけていると、講話をした者が、私にも感想を伝えてくれるようになり、とても嬉しく思ったからです。「校長先生、あの言葉を使わせてください」「今日の話をホームページでも発信してください」などの一言のおかげで、一日中、充実した気持ちで過ごせたことを覚えています。

授業中にも「即時評価」

 授業中にも、授業を中断させないようにタイミングを見て評価言を伝えていました。例えば、教師が子どもの発言を上手に繋いだ場面では、子どもに作業指示をしたタイミングで、教室にいる教師の横にさっと行って、
「子どもの発言をうまく繋いだね。あれで深まったよ。詳しくは時間があるときに」などと小声で伝えて、その教師から離れました。
その日の夕方、その教師は校長室にやってきました。「校長先生、あのときの話を詳しくお聞かせください」
 褒められる話は誰もが聞きたいものです。

【拙稿紹介】みんなの教育技術(「対話的な学び」が深まる学校にするため管理職がすべきこと)

 「みんなの教育技術」というサイトに、『総合教育技術』2019年8月号に掲載された私へのインタビュー記事「『対話的な学び』が深まる学校にするため管理職がすべきこと」が紹介されていました。ぜひお読みください。

対話的な学び』が深まる学校にするため管理職がすべきこと
<目次>
1 深まらない会話は、対話ではない
2 対話を生み出すために教師がすべき3つのこと
3 人の意見を聞き何かを考えるのは、自己対話
4 管理職がすべき、対話の質を高める手立て
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